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 松江城の堀の水を抜いてみたり、わなを仕掛けてみたり――。大量に生息する外来種ミシシッピアカミミガメの駆除を通して堀の生物の生態調査を進めてきたホシザキグリーン財団(島根県出雲市)による活動の成果を紹介する「松江城 お堀の生きもの」展が出雲市園町の県立宍道湖自然館ゴビウスで開催中だ(1月21日まで)。財団に外来種との格闘の歩みを聞いた。

 北米原産のミシシッピアカミミガメの駆除の話が持ち上がったのは、2年ほど前。県や松江市、財団などが参加する堀の「魅力アップ協議会」で、「アカミミガメが多いのが気になる。できたら捕りたい」という声が出た。県民会館前の堀では100匹以上が目視されるほど多かったが、これまで一度も駆除されたことはなかった。

 水を抜いて、「一網打尽」にすることが決まった。決行は観光客が少ない12月。しかし、作戦は困難を極めることになる……。

 堀を土囊(どのう)で仕切り、3日かけてポンプで水を抜いていった。水を抜くことで石垣にかかる圧力が変わり崩れてしまう恐れもあり、作業は慎重に進められた。ただ、場所によっては腰ほどまで泥があり、水を抜ききることはできなかった。

 総勢15人で堀に入った。「真冬の堀はすごい寒かったけど観光優先なので」と話すのは調査の中心メンバー山口勝秀さん(49)。網をひき、外来種は処分し、在来種は隣の堀に放した。しかし、肝心のアカミミガメがいない。泥にもぐって冬眠していた。泥を棒でつついて探したが、結局、16匹しか捕まえられなかった。

 17年からは作戦を変更し、春から秋にわなを仕掛けることにした。観光客から目立たないように設置した約40個のわなを週3回、見回った。その年の7月、県民会館前の堀で123匹を捕獲。翌18年7月には捕獲数が8匹に激減し、作戦の成果が確認された。

 水抜きをしたりわなを仕掛けたりした結果、珍しいハゼやメダカなども見つかり、改めて堀が汽水域の生物の宝庫であることも明らかになった。「アカエイがすーっと泳いでいることもあって驚く。エイがいる堀ってそうないでしょ」と山口さん。「外来種のカメは短期間でだいぶとれたが、今後も動向を見守りたい。財団がいつまでも駆除をやるというわけにはいかないが、住民のみなさんと市が一緒に在来種が生きやすい環境をつくっていく手伝いはしていきたい」(内田快)