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 東名高速で「あおり運転」をして一家が乗るワゴン車を停車させ、大型トラックによる追突事故で夫婦を死なせたとして危険運転致死傷罪に問われた石橋和歩被告(26)に対し、横浜地裁は14日、懲役18年(求刑懲役23年)の判決を言い渡した。

 「短い、と。ただそう思った」。事故で亡くなった萩山嘉久さん(当時45)の親友で、トラック運転手の田中克明さん(46)=静岡市=はスマートフォンで判決を知った。

 すぐに、萩山さん夫婦の長女(17)に「18年だって」と、メッセージを送った。「ふーん、そうなんだ」と返信が届いた。田中さんが「短いね」と送ると、長女は「わかんないや」。裁判での石橋和歩被告(26)の態度にあきれ、「考えないようにしている」という長女らしい返信だった。

 田中さんは事故直後に、長女からの電話で様子を聞いていた。だから、石橋被告が繰り返した危険な運転行為が裁判で明らかになることを望んでいた。「聞いていた通りだった。親友の名誉が守れてよかった」と思う。一方、初公判で見た石橋被告はひとごとのような表情で、反省は感じられなかった。謝罪の言葉も「届いてこなかった」。

 近く、萩山さん夫婦の墓を訪れ、判決を報告するつもりだ。クリスマスが近いので、嘉久さんが好きだったスナック菓子も持っていく。墓前に立てば、「(懲役18年は)みじけぇな」と、漏らしてしまいそうだ。だけど、これだけは伝えたい。「『あおり運転』という言葉が広まって、世間を動かしたんだ」

 被害者遺族として公判に参加した、嘉久さんの母文子さん(78)は判決を法廷で見届けた。閉廷後、弁護士を通じて書面でコメントを出した。「量刑について全面的に納得できるものではありませんが、被告の行為が危険運転と認められたことはよかったと思います」と評価した。「今回の裁判で自分の気持ちに一つの区切りをつけたいと思います。これから、あおり運転などの危険な運転が無くなってくれることを切に願います」と訴えた。

 長女は「私たちの気持ちを考慮してくれた判決で良かったです。ありがとうございます」とコメントした。嘉久さんの妻友香さんの父親(73)は「危険運転致死傷罪で認定して下さったことに感謝します。懲役18年については、色々な考え方もあると思いますが、ここに至るまで皆さまのご尽力によるものだと考えますので、私としては、そのまま受け止めたいと思います」と記した。(大西明梨)