[PR]

 今春に販売されたインフルエンザ治療薬のゾフルーザは、服用で1回で済むことから注目を集めています。この新しい薬について、感染症に詳しい岡部信彦・川崎市健康安全研究所長に気を付けるべき点を聞きました。

――ゾフルーザは1回のめば済むという簡便さが関心を集めています。

 のみ薬として、タミフルだけであった治療現場としては、新たな選択肢が増えたことは歓迎すべきことです。塩野義製薬という日本の企業が開発した、これまでとはメカニズムの異なる薬でもあり、日本の科学の発展にも寄与する開発であるといえます。服薬が1回で済むということは、医師にも患者にも煩わしさが減り、のみ忘れもない点でも大きなメリットととらえられるでしょう。

 ただ、この1回というのが小児科医としては気になります。

――何が気になるのでしょうか?

 インフルエンザなど急性期の病気に限って言えば、本体の医療は薬を出しっぱなしにするのではなく、途中の経過を診て、その良しあしを確認してから継続の可否を決めるべきだと私は思っています。タミフルなどほかの治療薬も数日間分を1度に処方するので、その意味では同じかもしれませんが、ゾフルーザやイナビルのように1回で済むところが「両刃の刃」のように感じます。

 また1回投与で済む分、代謝されるのに時間がかかるので、副作用かもしれないという症状が現れたときに、その時点で中止をすることが難しい場合もあり得ます。

――今シーズンにゾフルーザを使う医師も多くなるような見方もあります。

 いま販売されているのは錠剤です。顆粒(かりゅう)剤も開発され申請中と聞いていますが、小さいお子さんの場合、錠剤に関するデータは十分ではなく、誤嚥(ごえん)などの問題もあります。3歳以下のお子さんは顆粒剤が出てくるまで使うのを控えた方がいいでしょう。

 また、タミフルなどのインフルエンザ治療薬は、異常行動の発生が社会的にも問題になりました。私たちの研究では、インフルエンザそのものによって生じる可能性が高いという結論になりました。ゾフルーザも、使用後に異常行動が出るのかどうかについては念のため科学的なデータに基づいて確認していく必要があります。

――薬が効きにくくなる耐性の問題も出ています。

 臨床試験でも、耐性につながる遺伝子変異の割合が高く出ていますが、患者の症状への薬の効果との関係は評価が確立していません。今後の検討課題でしょう。

<アピタル:医療と健康のホント>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/honto/

(聞き手・服部尚