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 今年のノーベル平和賞を受賞したイラクの少数派ヤジディ教徒のナディア・ムラドさんが14日、イラク北部の生まれ故郷の村を訪れた。受賞後にイラクに帰郷するのは初めて。首都バグダッドではサレハ大統領らとも会談し、いまだ行方不明になっているヤジディ教徒の救出を訴えた。

 地元メディアによると、ムラドさんは故郷コジョ村を訪れたほか、過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害されたとみられるヤジディ教徒が集団で埋められた場所にも足を運んだ。ロイター通信によると、ムラドさんは賞金を、地元で性暴力被害者らを治療するための病院建設に使う意向を示したという。

 AP通信などによると、12日にはバグダッドで、「平和のための取り組みを続けなければ、ノーベル平和賞は意味を持たなくなる」と語り、いまだ行方のわからない3千人以上のヤジディ教徒の救出や、キャンプなどで避難生活を強いられている同胞の帰還の手助けを訴えた。

 ムラドさんは2014年8月、ISに拉致され、「性奴隷」として人身売買された。3カ月後、ISが最重要拠点としていたイラク北部のモスルから脱出。15年にドイツに渡り、ISによる性暴力被害の実態を実名で証言した。

 治安への不安などから、イラクでは今も約36万人のヤジディ教徒が本来の居住地に帰還できていない。(ドーハ=高野裕介)