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 いまや生活に欠かせないネットは、育児のありようを変えつつあります。親を助けたり、子どもの才能を開花させたりする一方、「スマホ育児」といった批判や、子どもへのさまざまな悪影響も指摘されています。

 「ぎゃー!」。東京都の女性(33)は4月、風呂場で絶叫した。髪を洗っていると、さっきまで浴槽で立っていた11カ月の息子が体勢を崩し、沈みかけていた。

 一時もじっとしていない息子。その日の出来事をイラストにし、「自分のからだ、ちゃんと洗えていません」というつぶやきとともに、写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿した。すると、「うちもこれありました!浴槽の床の滑り止めは便利」「(子どもを)バケツに入れてます。マイ風呂って感じで入ってくれて、おすすめです」。あっという間に60件のアドバイスが届いた。

 昨年出産し、初めての育児だ。海外で仕事をする夫は月に1度しか帰宅せず、女性は1人で息子に向き合う。話し合える友達も少ないなか、専門家に相談するまでもないことにも、インスタなら全国から助言や共感の声が返ってくる。

 夫におなかの赤ちゃんの成長や自分の様子を知らせようと、妊娠中からイラストの投稿を始めた。そのうち、投稿に検索キーワード(ハッシュタグ)「#妊婦」「#育児絵日記」などを付け始めると、見知らぬ妊娠・育児中の女性から投稿にコメントがつくようになった。「寝付けない時は、ホットアイマスクをつけると快眠できますよ」「(妊娠中に)靴下は片足を椅子に乗っけると、脱ぎやすいです」

 育児の困りごとだけでなく、悩みも吐き出せる。

 出産直後、何度も夜泣きで起こされ、授乳しながらスマホで子育て情報を調べていると、手伝いに来た義母に「ブルーライトが子どもの目に当たるわよ」と言われた。いつもスマホに助けられているのに、それも否定されたように感じ、涙がとまらなくなった。

 義母のことは書かず、赤ちゃんを抱いて泣く自分のイラストとともに、「ホルモンバランスのせいかも」と投稿した。すると「ホルモンのせいにして、泣いちゃいましょう!早く笑顔になれる日がきますように」「私は入院中から毎日1人で号泣してました」などのコメントが90件以上届いた。気づけば、女性のインスタのファンは2万人を超えていた。

 スマホがあれば「独り」ではない。家で息子と2人きりの自分も、インスタやチャットで外とのつながりが持てる。息子も自分も、毎日、「スマホに救われている」と感じる。

 一方で、子育ての過程ではネットのつながりが親を縛るケースもある。

 今年の初夏のある日。高2の男の子を持つ岡山市の母親(44)は午前5時にLINEのメッセージ音に起こされた。

 「今日のPTAの会合に遅れます」。その瞬間から、「了解しました」というグループのほかのメンバーからの返信が延々続く。

 複数の人と一斉にメッセージをやりとりできるLINEをPTA役員の連絡用に使っているが、早朝や深夜にも次々と届く。たまりかねた母親はPTAの会合で、「こういう不急の連絡はやめにしませんか」と声を上げた。

 「LINEの連絡は常識的な時間帯で」と決まった。

 小・中学生の4姉妹を育てる別の母親(43)は、地域の子ども会やPTA役員の連絡用など10以上のLINEグループを操る。子どもが病気のとき「いい病院知らない?」と尋ねれば、ママ友たちからすぐに返信が来る。

 確かに便利だが、仕事や家事で手を離せない時間帯にメッセージが届くこともしょっちゅうで、「今、返さなあかんの?」とうんざりすることも。メッセージの一部を見て、「緊急性のあるものしか開けない」という。既読したのに返信せず、相手の気持ちを損ねないための気遣いという。

 「次の集まりを企画しました。…

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