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 「かんたんに作れて、おいしい!」「楽しくそなえる」

 そんなソフトなフレーズをちりばめながら、災害が起きた時に役立つ情報を盛り込んだ本が今春発行された。タイトルは「おいしいミニ炊き出しレシピブック」。2016年の熊本地震で被災した人たちと、横浜や川崎など首都圏から被災地を支援した人たちが実行委員会形式で作った。

 実行委のメンバーで、横浜に拠点を置く一般社団法人「減災ラボ」代表理事の鈴木光さんによると、きっかけは熊本地震だった。

 鈴木さんは仲間とともに、震度7の揺れに襲われた熊本県益城町の人たちから必要な物を聞き取りながら、物資を送る活動をしていた。

 そんな中、被災地から「めんつゆが欲しい」という声が上がった。大勢で食べる炊き出しの際、「我が家の味付け」を出すのはためらわれる。そこで、市販のめんつゆを使うと「味が決まる」という訳だ。

 その後も、支援物資としてはおなじみのレトルト食品が求められることは少なく、調味料のリクエストがたびたび寄せられた。

 そうした希望や情報は、益城町で中華レストランを営む満田結子さんらが発信した。満田さんは被災直後から、ご近所同士での炊き出しに取り組んだ。

 満田さんらとのやり取りを通じて、支援物資の送り手の鈴木さんたちは「食」に関心を持つようになったという。「『炊き出し』というと、大鍋で100人分ぐらいの物を作るというイメージしかなかった。満田さんたちの取り組みは、身近な食材で、私たちにもできる、という気づきになった」と鈴木さんは話す。

 その後、満田さんから「今回のやり取りを記録として残せないだろうか」という問いかけがあった。昨年秋ごろ、熊本と首都圏でチームを組んで本作りが始まった。

 満田さんが提案する料理のほか、料理研究家が監修した物も加えてレシピは計53品。停電して冷蔵庫が使えず、傷みやすい多種類の肉を調理した経験から生み出された「やみなべ豚汁」。鶏肉、豚バラ肉、豚のひき肉など様々な肉が使われている。

 料理本の撮影をしているカメラマン、女性雑誌のデザイナーも本作りに参加した。一見すると、カラフルでおいしそうな料理が並ぶレシピ本。ただ、そこには工夫も施されている。

 レシピは発災から順を追って並ぶ。「直後」(発災~24時間)、「緊急」(25~72時間)など五つの区分でレシピを紹介。さらに、カセットコンロのガス1本で豚汁鍋がどれだけできるのか、生活に必要な水の量、非常時に役立つ便利グッズ、満田さんを含めた益城町で活動した人たちの報告などのコラムもある。

 「防災・減災に興味がなくても、時短や省エネの料理として試してもらいたい。日常的にやれば災害時でもできる。合間に防災・減災関連のコラムも読んでほしい」と鈴木さん。

 A4判100ページで1300円(税抜き)。書店販売はない。詳細はホームページ(http://mini-takidashi.jp/別ウインドウで開きます)で。

 

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(大脇真矢)