奇抜なもの見る目から隣人へ ゲイカップルの歩んだ平成

いろいろかぞく

井手さゆり
[PR]

 LGBTなど性的少数者への差別や偏見を無くそうと訴える「レズビアン・ゲイ・パレード」が日本で初めて行われたのは平成6(1994)年8月28日。新宿中央公園(東京都新宿区)から宮下公園(同渋谷区)へと続く列のなかに、ゲイカップルの伊藤悟さん(65)と簗瀬竜太さん(56)はいた。

 当時、パレードへの反応は冷ややかだったという。沿道に人はなく、「通りかかった人も奇抜なものを見るような目だった。ヘイトの対象ですらなかった」と伊藤さん。声を出して自らを鼓舞しなければ歩き続けられないほどで、精神的にぐったりしたという。

 その2カ月前の同年6月、米ニューヨークで参加したパレードは違った。米国の性的少数者の解放運動の契機となった「ストーンウォール事件」から25周年を記念したパレードに、世界中から人が集まった。祝福にあふれた雰囲気の中、「君たちを誇りに思う」と声をかけられて「初めて自分を肯定できた」と簗瀬さん。帰国後、2人はゲイやバイセクシュアルの男性向けの交流の場をつくろうと活動を開始。今も「すこたんソーシャルサービス」として、ワークショップや講演活動などを続けている。

 先月、2人は千葉市に引っ越した。来年、同市が生活を共にする性的少数者や事実婚らのカップルを、夫婦と同じようにみなす制度を導入予定であることが後押しした。以前は「男性2人」の入居を断られることが多かったが、制度を説明すると今回はすんなり決まった。簗瀬さんは「同居人の欄に初めて名前を書いた」という。

 NPO法人「虹色ダイバーシティ」によると、11月末時点で同様の制度を9自治体が導入。来年はさらに増える見込みで、2人はその動きに期待する。「多くの自治体が認めることで、病院でも家族として扱ってもらえるなど、生活上の権利が改善されると思う。特権が欲しいのではなく、私たちも異性カップルと同じように生きていきたいだけです」(井手さゆり)

いろいろかぞく~LGBTQの家族の形~

いろいろかぞく~LGBTQの家族の形~

「いろいろかぞく」を通し、性的少数者と家族のあり方を考えます。[記事一覧へ]