(語る 人生の贈りもの)五木寛之さん

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 幼少期を朝鮮半島で過ごした作家の五木寛之さん。戦争が終わり、母を病で亡くし、2年かけて「一生分の苦労」をして福岡に引き揚げてきた後、物書きとして世間の注目を集めてもなお、虚無感や罪悪感にとらわれてきたと言います。それでも行く先を照らし続けたのは、幼い頃に半島で接した風景と、それを見て幼心に芽生えた思いでした。五木さん自身に半生を語ってもらう連載「語る 人生の贈りもの」(全15回)をまとめてお届けします。

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 これまで何冊の本を出したんだろう。小説家として世に出てかれこれ52年になりますが、自分のやってきたことに、あんまり関心が向かない方でしてね。

 「流されゆく日々」というのが、日刊ゲンダイで40年以上連載しているエッセーのタイトルです。時流に逆らって生きていく、というより、流されていこうか、と。いいかげんなようですが、まぁ、そういうたちなんです。

 大変な時期は山ほどありましたし、ここまで来られたのは偶然としか言いようがないんですけどね。

 《淡々とそう語る姿は今月末で86歳とは思えない。よどみない記憶、ぱりっとした服装――執筆だけではなく、毎週のように講演に出かけ、多彩な人と対談を重ねている》

 あちこち衰えてはいるんですよ。腰も痛くなるし、下血が止まらなくなったこともあった。どうにかやりすごして「医者に行かないのが養生法」と強がってきました。でも去年、足が痛くなって病院に行かざるをえなかった。戦後初めてです(笑)。敵の軍門に下るような心境でしたね。

 医者が怖いわけでなく、よく考えてみれば妙な話です。でも人に言われてハッとしました。「お母さんに義理立てしてきたのでは」と。

 ちょうど73年前、終戦直後の…

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