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 英国の欧州連合(EU)からの離脱条件を定めた協定案について英国のメイ首相は17日、英議会の承認を求める採決を来年1月中旬に行う意向を示した。18日の閣議では協定案が承認されず「合意なし離脱」となった場合への備えを加速させることも決めた。

 協定案には与党・保守党内でも反発が強く、大差での否決の見通しが濃厚となったため今月11日に予定された採決を延期していた。メイ氏は協定案の審議を年明けに改めて行い、14日からの週に採決する方針だ。

 一方、メイ政権は今月18日の閣議で、協定案が承認されず「合意なし離脱」に追い込まれた場合への対応について協議。英BBCによると、物流の混乱が予想される国境の管理や治安維持などのため、計20億ポンド(約2850億円)の予算を担当省庁に配分することを承認したという。

 ウィリアムソン国防相はこの日の議会で、合意なし離脱の混乱に備え、各省庁をサポートするため3500人規模の兵士を派遣する準備をすると話した。

 英国とEUが11月に合意した協定案には、英領北アイルランドと地続きのアイルランドとの間で人や物の自由な行き来を続けるため、解決策がない限り英国全体がEUの関税ルールに従い続けるという「非常措置」が盛り込まれた。

 これにEUからの「主権回復」を重視する保守党の強硬離脱派が「永久にEUルールに縛られる」などと反発。メイ氏は非常措置の期間を区切るなどの「保証」をEUから得たい考えで、13、14日のEU首脳会議ではEU側から思うような譲歩は引き出せなかったが、協議を続ける姿勢だ。

 一方、最大野党・労働党のコービン党首は17日、協定案の採決延期を不服としてメイ首相への不信任案を英議会に提出した。ただ、政権全体への不信任案と違い法的拘束力がなく、可決されても解散総選挙には必ずしもつながらない。英メディアによると、保守党で12日にあった党首メイ氏への不信任をめぐる投票で、不信任票を投じた強硬離脱派も、労働党には協力しない姿勢。可決の見込みは低く政権側も審議や採決に応じない意向とみられる。(ロンドン=下司佳代子)