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 安倍政権が急速な安全保障環境の変化を強調し、向こう10年程度の防衛力のあり方を示す防衛大綱を改定した。「対中シフト」が鮮明になり、事実上の空母の導入も決定。憲法に基づく「専守防衛」を逸脱するとの批判に向き合う議論は置き去りになっている。

 「空母」をめぐっては、日本政府は憲法に基づく専守防衛の観点から、歴代内閣は「攻撃型空母」は保有できないとの立場を維持してきた。安倍晋三首相も今年2月の国会で「攻撃型空母は保持することが許されない」と答弁している。

 このため、今回の改定で空母化導入を明記するにあたっては、過去の政府見解との整合性をどう取り繕うかに腐心した。その象徴が「呼称」だ。

 大綱改定を議論した与党ワーキングチーム。座長である自民党の小野寺五典・前防衛相と座長代理の佐藤茂樹・公明党外交安全保障調査会長らによる今月5日の議論はもつれた。

 まず自民が提案したのは、「防御型空母」。公明は「空母」という表現に抵抗した。次に自民は、5月段階でまとめた党の提言にある「多用途運用母艦」との案を示したが、公明は「母艦」という表現が航空母艦を略した「空母」を連想させるとして難色を示した。最終的な与党案は「多用途運用護衛艦」とすることで一致した。

 ところが、最終的な大綱と中期防では「多機能の護衛艦」というこれまでの表現を使った。与党案を盛りこまなかったことについて、防衛省幹部は「戦闘機を運用できるという機能が一つ加わるが、護衛艦の性格は変わらない」と説明。実態としては戦闘機を遠洋から飛ばせるようになる大きな変更だが、呼称を変えることでさらなる批判を避けたいのが本音のようだ。

 呼称については強い抵抗を示した公明も、事実上の「空母」導入に反対したわけではない。憲法との整合性や導入の必要性などについて政府に詳しい資料を求めるにとどまった。それは計7回の会合を開いて議論した政府の有識者会議「安全保障と防衛力に関する懇談会」も同様だ。公開された6回分の議事要旨によると、「空母化」をめぐる意見が出たのは1回だけ。どこまで深い議論をしたのかは、はっきりしない。

 策定過程で岩屋毅防衛相は、常…

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