土曜日しか売ってないメンチカツ 幻の味、間借りの店で

堤恭太
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 土曜日しか食べられないメンチカツ。そんなB級グルメ「前川メンチ」が、埼玉県川口市の前川中央商店会にある。

 平日に商店街を訪れた。至る所にメンチのキャラクター「メンチくん」の旗がなびいている。が、どこにも売っていない。「土曜日しか売っていないんですよ。知らないで買いに来た人には文句を言われてね」と、商店街会長の岩谷三郎さん(69)は笑う。

 商店街の活性化を考えていたときに、総菜屋が普通のメンチを「前川メンチ」と名付けて売っていた。語呂の良さと、商店街に冷凍食品会社があることから、看板商品にと考えた。

 だが2004、08年の五輪で水泳の北島康介さんが金メダルを獲得したころに実家のメンチが評判になって以来の揚げ物ブームは終わっていた。商店街の勉強会に招いた講師も「メンチはもう古い」。しかし住宅街の平凡な商店街には農産物などの地場産品もなく、ほかに候補もなかった。

 2012年7月に地域のまつりに出品。好評だったが、一方で独自性も必要と感じ、考えたのが梅肉を練り込むことだった。岩谷さんの店は梅の専門店「五十和(いそわ)」。梅と肉は相性がいい。市のイベントに出すと、毎回1千個が完売する人気になった。商店街の飲食店もメニューに加えるようになり、メンチくんのLINE(ライン)スタンプも作った。

 常時販売していないため、イベントでしか食べられない「幻のメンチ」になっていたが、3年ほど前に総菜屋が閉店したため、そこを借りて土曜日だけ売ることにした。

 梅肉入りだけでなく、キャベツやチーズ入りも。「前川メンチバーガー」もある。先月の土曜日、遠くから自転車で買いに来たという女性は「開いているか、一か八かで来ました。土曜日だけしか開いていないんですね」と10個以上も買い込んでいった。

 昨春には地元小学校の給食のおかずにもなった。岩谷さんは「『メンチでまちおこし』が少しずつ形になってきている」と喜ぶ。

 店は前川3丁目9の15。前川メンチは150円、バーガーは350円(いずれも税込み)。土曜日のみで午前11時~午後6時。問い合わせは五十和(048・261・1225)。(堤恭太)