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 溶連菌感染症を知っていますか?

 お子さんがいるご家庭では、耳にしたことのある病気だと思います。この感染症の原因菌である溶連菌は略称で、正式名称は溶血性連鎖球菌と言います。この細菌が、へんとう炎や咽頭(いんとう)炎など、主にのどの感染症を引き起こすのです。

 小さな赤ちゃんがかかることは少なく、幼稚園や保育園の年長児から小学校低学年くらいで流行します。学校の保健便りなどで、「溶連菌がはやっています」というお知らせが届くこともありますね。へんとう炎や咽頭炎のほか、体のあちこちにかさぶたを伴う皮疹ができる「とびひ」などの皮膚感染症も引き起こします。

 この病気の感染から発病までの潜伏期は2~3日で、主な症状は、のどの痛みと発熱です。せきや鼻水はほとんどありません。のどの痛みはかなり強く、のどが真っ赤に腫れます。舌も、赤いぶつぶつができる「いちご舌」と言われる状態になることがあります。

 ベテランのお医者さんになると、流行状況やのどの状態を見ただけで診断することも可能ですが、多くの場合、迅速診断キットを使用します。このキットを使えば、のどを綿棒でグリグリこすって、10分くらいで診断が可能です。

 本格的には、培養検査や血液検査で診断します。前者はのどを綿棒でこすり、菌が育ちやすいように栄養を含んだ寒天培地に塗って、実際に菌が生えてくるか見る方法で、後者は溶連菌感染症特有の数値が上がっているか見る方法です。ただし、これらの検査は結果が出るまでに数日かかるため、迅速診断の結果が陰性であっても患者さんの症状や経過から溶連菌感染症が疑われる場合など、必要に応じて行います。

 治療は内服の抗菌薬を使用します。薬が効くと1日で熱が下がり、のどの痛みもなくなってしまいますが、これで安心してはいけません。お医者さんに指示された日数分をしっかりとのみきってください。通常の服薬期間は10~14日間です。

 なぜかと言うと、この菌による感染症は合併症が怖いのです。腎臓に炎症を起こす急性糸球体腎炎や、心臓や関節に炎症を起こすリウマチ熱などを引き起こすことがあります。溶連菌感染症の診断を受けた後、2~3週間後にもう一度受診するように言われたという人もいると思います。それは、急性糸球体腎炎を起こしていないかどうか尿検査によって確かめるためなのです。

 急性糸球体腎炎は、溶連菌感染症にかかって2~3週間後に急におしっこが出なくなり、体がむくんでしまう病気です。軽い場合には、尿に少しの血が混じる程度ですが、重症になると全くおしっこが出なくなり、透析が必要となる場合もあります。治ったと思っても、尿の色が変(色の濃い尿や赤黒っぽい尿が出る)、尿の量が少ない、むくみがある、頭痛や腹痛があるといった場合には、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

 大人でも、免疫力が低下していると感染し、発症することもありますので、注意が必要です。

 幼稚園や保育園、学校で流行している時や、家族で溶連菌感染症の人がいたりする場合で、急にのどが痛くなり発熱も伴う場合は、医療機関を受診してみてください。その際、周囲に溶連菌の人がいたことを伝えると診断、治療までがスムーズに行くと思います。

 日本学校保健会の解説には、「適切な抗菌薬療法開始後24時間以内に他への感染力は消失するため、それ以降、登校(園)は可能」と記されています。抗菌薬をのめば翌日にはお熱が下がって、のどの痛みなどの症状も改善し元気になると思います。そうなれば登校は可能と判断します。くれぐれもお薬は途中でやめないで指示された日数をのみきるようにしてください。

<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/(国立病院機構弘前病院小児科 敦賀和志)