妊娠なら帰国、恋せぬメイド 移民受け入れ、各国で課題

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 4月の改正入管法の施行で、日本に暮らす外国人は確実に増える。外国人をどう受け入れるべきか。各国も模索している。

 オーストラリア・シドニーの西約250キロの町オレンジの果樹園で昨年11月、オーナーのディノ・クニアルさん(68)がチェリーの出来具合を調べていた。

 8ヘクタールある畑の収穫作業は、ワーキングホリデー(ワーホリ)ビザで滞在する外国の若者や南太平洋の島国の出稼ぎの人たちが担う。肉体労働で働く時期も限定されるため、「豪州の若者は働きたがらない。完全に彼らが頼り」と話す。

 一方で外国の若者には、観光や語学の勉強もできるワーホリは人気が根強い。大阪府出身の松山友紀さん(29)は2015年12月にオレンジのチェリー農園で働いた。作業員はみなワーホリ滞在者だったという。

 1975年に始まったワーホリは期間1年で1回限りが原則。ただ、地方の仕事を3カ月以上すれば、もう1年滞在できる。政府は2年目の人が農園などで6カ月働くことを条件に今年7月以降はさらに1年延長できるようにして地方に誘導する。

 日本では技能実習生が人手不足の深刻な地方から時給の高い都市部へ失踪する例が相次ぐ。政府は外国人の都市集中の歯止め措置を講じる方針だが、具体策は挙がっていない。

 年約20万人がビザを受けるワーホリは移民国家・豪州の幅広い外国人受け入れ策の一つにすぎない。移民政策に詳しいメルボルン大学のレズリーアン・ホーソーン教授によると、政府は長期就労ビザ(期間4年)だけでも17年までの10年間で約50万人に発給した。職種は600以上と幅広く、高度技能を必要としない職種も3分の1を占めた。学生ビザで暮らす人は昨年9月時点で約65万人。いずれも家族の帯同が可能だ。学生ビザでも週20時間まで本人も配偶者も働ける。

 長期就労ビザで3年以上働くと、家族とともに永住権を得る道が開かれる。

 豪政府は移民が成長の原動力の一つと考えている。16年の国勢調査では人口の26%が外国生まれ。政府は現状のような移民の受け入れを続ければ、20~50年に国内総生産(GDP)成長率を毎年0・5~1ポイント押し上げると見積もる。

 一方で、近年は大都市を中心に住宅価格の高騰や交通渋滞などが問題となっており、移民の増加が原因の一つと指摘される。そんな声を背景に、政府は12年以降、年間19万人としてきた永住権の交付の上限を、16万人に下げることを検討している。(オレンジ=小暮哲夫

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