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【アピタル+】患者を生きる・食べる「偏食」(幼い子どもの偏食)

 離乳食を食べてくれない、わが子を心配する親は少なくありません。どのように付き合っていけばよいのでしょうか。神奈川県立こども医療センターで小さな子どもの偏食外来を担当する、小児科医で地域保健推進部長の大山牧子さんに聞きました。

幼い子どもの偏食
食べられる物が極めて限られたり、母乳しか飲まなかったりする。

 ――子どもの偏食はよくあることですか。

 厚生労働省の調査でも、子どもの食事に関する心配事で、2~5歳児の各年代で、約3割の保護者が偏食を挙げており、非常に多くの人が悩んでいます。

 ――偏食外来ではどのように対応しますか。

 偏食は病名ではありません。「食べることに対して子どもがストレスを感じている場合」が少なくありません。知識を得ることで、つまずかない、つまずいてもこじらせないことが大切です。

 ただし、偏食の背景に病気が隠れている場合があります。便秘で食欲がない、へんとうが腫れて食べ物をのみ込むのがつらいという場合は、偏食になる原因を取り除く治療をします。また、発達障害や自閉症の子どもが偏食になる場合は少なくありません。そうした場合は、地域の療育センターとも連携して対応していく必要があります。

 ――どんなことに気をつけたらよいでしょうか。

 離乳食を食べないからといって、無理強いをしないことです。スプーンで押し込まれたと思うと、子どもはそれ以降、スプーンを嫌がることがあります。食事を与える際には、乳児用のスプーンを使ってごはんの量は少しだけにする。舌の先にのせて、口を閉じたら水平に引き抜きます。

 ただ、大事なことは、子どもに上手に食べさせる技術を親が身につけることではなく、子どもが自ら食べるように導く技術を親が学ぶことです。子どもの力を引き出してあげることは、食事だけではなく、育児の基本ですよね。

――子どもが自分で食べられるようにするこつはありますか。

 最初は無理にスプーンを使う必要はありません。手づかみ食べは、子どもの気持ちを尊重する食べ方です。最初は遊んでもしからず、注目もしないようにします。注目すると、子どもは気を引こうとして同じ行動を繰り返します。また、食べようとしたらほめる。食べることは楽しいことだと学ばせることが大事です。

 また、リラックスして食べられるよう、子どもの体格に合ったイスを選びましょう。だらだら食べは避け、長くても40分以内に終えるようにしましょう。

写真・図版

 ――いつまでに何が出来ればよいという目安はありますか?

 月齢や他の子との比較ではなく、子どもの発達段階に応じて見守ることが前提です。少しゆっくりでも食べられるようになる場合が多いです。

 その上で、月齢が10カ月になっても離乳食をまったく食べないような場合は、医師に相談した方がよいでしょう。早い段階で対処できれば、「強制をしない」といったことだけで食べられるようになる子もいます。

 ――母乳をやめると勝手に食べる、とも聞きます。

 脱水症状などにつながるおそれがあります。離乳食を食べない赤ちゃんにとってはおっぱいは命綱です。与えながら、子どもが自発的に食べる方法を学んでいくのを見守るのが望ましいやり方です。

     ◇

 子どもの発達に応じた食べ方、食べさせ方などをまとめた偏食外来のパンフレットは、神奈川県小児保健協会のホームページ(http://www.kanagawa-syounihokenkyoukai.jp/cat111194/別ウインドウで開きます)から見ることができる。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・小坪遊