拡大する写真・図版東京都港区にそびえ立つ六本木ヒルズ森タワー=2018年12月6日午後7時45分、川村直子撮影

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 オフィスの扉を開けると、暗闇に青や赤の電飾が点滅していた。コックピットのようなイスが三つ。ベンチャー企業「クルーズ」の宇宙船を模した本社エントランスだ。

拡大する写真・図版「クルーズ」オフィス内の通路=2018年12月18日午後、東京都港区、川村直子撮影

 場所は東京・六本木ヒルズオフィス棟38階。かつて堀江貴文氏が率いたライブドア本社があったフロアだ。2001年に東京・五反田のマンションの一室で創業。広告、ソーシャルゲーム、ファッション通販と主要事業を変えながら成長を続け、ライブドアが退去した後の09年に入居した。

 東証ジャスダックに上場し、時価総額は約300億円に達する。「取引先から信頼を得るためにオフィスにこだわるのは当然」と広報担当執行役員の諸戸友さん(38)は話す。「時代を代表する企業が集まるのが六本木ヒルズだ」

拡大する写真・図版「クルーズ」のオフィス。窓の外には東京タワーも見える=2018年12月18日午後、東京都港区、川村直子撮影

 オフィス棟や住宅棟などからなる六本木ヒルズ。オフィス棟には楽天、グーグルなど、平成に急成長を遂げた「時代の寵児(ちょうじ)」が入れ代わり立ち代わり、拠点を構える。住宅棟の賃貸は家賃200万円を超す部屋もあり、所有者の管理費は10万円以上のところも。ここに暮らすIT長者は「ヒルズ族」と呼ばれた。

 敷地計11ヘクタールは、再開発前は団地や木造住宅が連なる住宅街で、五つの自治会があった。1986年に森ビルなどによる計画が持ち上がると、地域は賛成派と反対派に分裂。バブル崩壊でさらに紛糾したが、最終的に計画区域内に土地や建物があった約500軒のうち約400軒が同意した。計画開始から完成まで計17年を要した。

拡大する写真・図版2000年ごろの六本木ヒルズ建設地。後方は東京タワー=細井麻由美さんの弟の浩さん撮影

 ヒルズが開業したのは03年4月。住宅棟のカギが引き渡された1日、等価交換などで移り住む地元の住民数十人が列をなした。亡くなった家族の位牌(いはい)を握りしめる高齢者もいた。4棟計約800戸のうち、250戸以上が地元住民だった。

IT企業が拠点を構える平成の象徴、六本木ヒルズ。IT長者や芸能人が暮らす住宅棟には、知られざるもう一つの「ヒルズ族」の存在がありました。記事の後半ではその素顔に迫りました。

 田口保子さん(75)は再開発…

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