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医の手帳・認知症の初期症状(4)

 アルツハイマー型認知症では、初期から睡眠の質が低下し、深い眠りが維持できずに総睡眠時間が減少します。一方で慢性的な睡眠不足は、脳内のアミロイドβというたんぱく質を増やし、アルツハイマー型認知症の発症リスクを高めることがわかってきました。驚くことに、睡眠中には認知症の原因となるたんぱく質のゴミが、脳の中から掃除されているのだそうです。そのため、認知症の予防には良質な睡眠が重要と考えられています。

 睡眠時間は人それぞれです。毎日9時間眠らないとすっきりしないという人もいれば、5時間で満足という人もいます。一般的に、加齢に伴い睡眠時間は減少します。子供の頃は8時間寝ても眠りたりなかった人も、60歳を超えれば5~6時間の睡眠となるのが自然です。

 高齢期に睡眠時間に強くこだわると、眠れずに寝床で過ごす時間だけが増え睡眠効率が悪くなります。眠る努力を続けることは大抵苦痛を伴いますので、多くの人が自分は不眠症になったと悩んでしまいます。不眠症とは、睡眠不足によって日中の活動に支障が出ることをいいます。たとえ5時間睡眠でも日中に影響がなければ不眠症ではありません。睡眠時間によらず、自分の睡眠に満足できていれば良質な睡眠といえます。

 レビー小体型認知症では、初期からレム睡眠行動障害を合併します。初老期の男性に多く、眠っている状態で夢と同じ動きをしてしまうのが特徴です。どういうわけか怪獣と戦うなど物騒な夢が多く、壁を殴ってけがをしたり、横で寝ている人を傷つけたりする危険を伴います。初期には大声で寝言を言うだけのこともあります。

 しかし、朝起きた時に本人は覚えていません。夫の寝言がうるさくて寝室を分けてしまったという方は、時々は寝室をのぞいて、ご主人が夜な夜な怪獣と戦っていないかをぜひお確かめください。(おわり)

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学医歯学総合病院 横山裕一医師〈精神科〉)