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 1995年12月6日、降りしきる雪の夜、白川郷・荻町集落(岐阜県白川村)に世界遺産登録の正式決定を伝える村内放送が流れた。合掌造り家屋で民宿を営む大田利展さん(75)は「維持費のかかる屋根を下ろそうかと考えた時もあったが本当に残してきてよかった」と振り返る。

 それから二十余年。民宿はいま、娘の明子さん(48)と夫の忠広さん(51)が中心となって切り盛りする。囲炉裏を囲む板敷きの床に置かれたお膳には、飛驒名物の朴葉(ほおば)みそや切り干し大根などが並ぶ。「ディスイズ、マイハウス」。明子さんは昨年12月上旬、台湾や香港から来た3組の客に語りかけた。

 「最後の秘境」とも呼ばれた集落の一昨年の観光客は176万人(村集計)。登録前の2・6倍にのぼる。平成の時代、日本では計22件が世界遺産になったが、人が住む集落の登録は世界的にも珍しい。

 「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」会長の和田正人さん(58)は「集落を守ってきたのは『売らない、貸さない、こわさない』という住民憲章だ」と話す。戦後、周辺ではダム建設が相次いだ。生業の養蚕業も廃れ、家屋が次々と売り払われる中、危機感を抱いた住民らは71年に「守る会」を設立し、住民憲章を制定。76年には国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定され、自分の家の改築にも村の許可が必要になるほどの厳しい制約が課されてきた。

 そんな世界遺産の村にも変化の波が押し寄せている。

 「福ちゃん、もうちょっと長め…

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