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 昨夏の第100回全国高校野球選手権記念大会で、秋田勢として103年ぶりに準優勝した金足農。雪国の公立校、それも「雑草軍団」の異名をもつ農業校が強豪私立校を次々と破る姿は全国の注目を集め、「昭和野球」を感じさせながら「金農旋風」を起こした。

 「どうやったら応援されるか意識していました」。昨年11月に秋田市であった県民栄誉章顕彰式で、大友朝陽(あさひ)選手の一言が会場の笑いを誘った。その秘訣(ひけつ)を問われると「みんなと仲良くすることです」。

 秋田大会から甲子園決勝までの全11試合を、県内出身の3年生9人で戦い抜いた。主催社の担当として選手と同じ宿舎で過ごした筆者には、その言葉の意味がよくわかった。

 「虫が嫌いな吉田君を『いじめる』キャラです」と笑う大友選手。愛犬のかわいさを語る菅原天空(たく)選手、記者のカメラを手に「カメラマン」になりきる打川(うちかわ)和輝選手……。焼き肉を食べる時は黙々としていても、目尻を下げてじゃれ合い、時に誰かを「イジる」姿は、普通の男子高校生そのものだった。

 だが、野球になると目つきが変わる。吉田輝星投手は月初め、金足農のグラウンドにあるホワイトボードにその月の目標を自慢の達筆で書き込む。甲子園出場前にはこうあった。「東北で一番厳しい練習」

 金足農は冬期間、全体練習でボールを一切使わずにひたすら体を鍛え抜く。早朝5時半からの走り込みで始まる冬合宿を締めくくるのは、坂道ダッシュ。乗り越えた選手たちは試合中もその経験を思い出し、「坂、行くぞー!」と自分や仲間を奮い立たせる。

 厳しい冬は選手の心や体だけでなく、自信や絆も大きく成長させる。「我慢強さは雪国じゃないと鍛えられなかった」と佐々木大夢主将が語るように、甲子園では最後まで諦めない野球が光った。

 大垣日大との2回戦では同点の八回、大友選手が粘りに粘って12球目を左翼席へ運び、公式戦初本塁打を記録した。

 続く横浜戦では2点を追う八回裏。菅原天選手がタイムを取って「初球、思い切っていけ」。背中をたたいて送り出した高橋佑輔選手が言葉通り、初球をフルスイング。高校通算初の本塁打は、バックスクリーンへの逆転弾となった。

 相次ぐ逆転劇は観客を味方にした。近江との準々決勝。1点を追う九回裏、先頭の高橋選手が打席に入ると、球場全体から拍手が湧いた。そして金足農の一塁側アルプススタンドから流れる「Gフレア」に合わせて球場全体で手拍子が鳴り、タオルが回った。「全部が味方してくれた。楽しんでやろうと思った」と、無死一、二塁で打席に立った菊地亮太捕手は振り返る。

 その後、無死満塁となり、「バ…

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