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(23日、全国高校駅伝男子)

 5キロある6区で、3キロ手前の緩やかな下り坂。倉敷が優勝を引き寄せたのは、1年前に首位を奪われた因縁の場所だ。

 「あそこが勝負どころだと思って、狙ってました」。そう振り返るのは、6区石原翔太郎(2年)だ。2位でたすきをもらうと、中継所で17秒あった世羅に2・5キロすぎで追いつく。この坂で一気にスパートをかけると、みるみると引き離し、13秒差でアンカー井田春(しゅん、3年)へ。2年ぶりの頂点へ、十分なリードだった。

 昨年は「魔の下り坂」だった。6区で優勝した佐久長聖(長野)に抜かれて2位。当事者の八木志樹(もとき)(3年)はこの日、1区で区間8位。「まさか、僕が抜かれたところで後輩がやってくれるとは。感激しました」

 チームとしては、思った通りのレースではなかった。3区でケニアからの留学生フィレモン・キプラガット(2年)が7人を抜く区間賞の走りでトップに立つも、4区で世羅に逆転を許す。それでも「こうなることも想定内」と新雅弘監督。終盤の6区に「準エース」の石原を控えさせていた。

 チームは「1」にこだわり、1月1日午後1時から練習を始めた。7月には西日本を豪雨が襲い、倉敷市内でも多くの犠牲者が出て練習どころではなかったという。主将の宍戸来嘉(らいか、3年)は言う。「豪雨があって、優勝するんだという思いが強まった。俺たちで倉敷を元気にしようって」。逆境をはねのけた選手たちは抱き合って泣いた。(山口裕起)