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 日本選手の活躍が珍しくなくなった欧州サッカーの舞台で、なかなか結果を残せていないポジションがGK。その壁に挑んでいるのが、21歳以下日本代表の山口瑠伊(るい)だ。フランス人の父を持つ、東京五輪世代の20歳。欧州で学んだことや、日本との違いを感じる部分は何か。現地で話を聞いた。

 2017年夏から所属するスペイン2部エストレマドゥーラは、同国南西部のアルメンドラレホに本拠を置く。18年12月上旬、周りに畑が広がる練習場に足を運ぶと、スペイン語で受け答えしながら汗を流す山口の姿があった。

 「人口約3万人だが、ホーム戦は1万以上の人でスタジアムが埋まるほど、熱狂的」と山口は言う。練習はトップチームに参加するが、4部所属というBチームで試合経験を積む。トップでの出場が当面の目標だ。

父の母国フランス生まれ

 山口は父の母国フランスで生まれ、生後6カ月ごろから日本で育った。フランス語圏向けのインターナショナルスクールで学び、中学年代からFC東京の育成組織へ。GKのレベルが高い欧州で挑戦したいという思いから、16歳でフランスへ渡った。

 ロリアン(現フランス2部)の育成組織に入団。教えられたのは、精神面だったという。「GKの仕事はなんだ、ということを最初に教わった。絶対に決めさせないという気持ちが大事だ、と。それがベースになる。技術はそのあと」

 練習では「試合をイメージしろ」と徹底して言われた。例えば、シュートを止める練習。止めて終わりではなく、すぐに立ち上がって次に動ける体勢をとると言った具合だ。日本では、キャッチ練習なら、キャッチだけに集中していた。

 欧州で感じたことに、シュートを打ってくる相手の駆け引きのうまさがある。「例えば、南米出身の選手なら、ずっとこっちの目を見てきて、どう動くかを探った上で、その逆方向に打ってくる」。素直にプレーしがちな日本の選手は、タイミングやコースも読みやすいという。

「言葉話せねば、信頼つかめない」

 日本人GKが海外でプレーする上で大きな壁となっている語学については必要性を感じている。「後ろから試合展開が一番見えているGKは、指示を出すべきポジションで、チームで『セカンドキャプテン』のような存在」になっているからだ。言葉が話せなければ、信頼はつかめないと思っている。

 スペインへ移籍したとき、まず語学習得に力を割いた。父とはフランス語、母とは日本語、両親間では英語も飛び交うという家庭環境で育った山口。「これはスペイン語でなんて言うの?」と、英語が話せるGKを質問攻めにし、指示出しに必要な単語を約1カ月かけて覚えたという。今では4カ国語を操る。

 日本人GKで欧州の5大リーグで出場したのは、川島永嗣(フランス・ストラスブール)だけ。川島を3センチ上回る身長188センチ。俊敏性を武器に、欧州で勝負する。「僕が、川島さんを超えたい」(勝見壮史)