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 指導者の暴力や暴言、パワハラなどが問題になるなか、バレーボール元日本女子代表の益子直美さん(52)が「監督とコーチは選手を怒らない」というルールで福岡で始めた小学生の大会が、来月で5回目を迎える。大会関係者は指導者の意識の変化を感じるといい、神奈川でも大会を開くようになった。

 来年1月13~14日に福岡県宗像市で開かれる「第5回益子直美カップ小学生バレーボール大会」は男子12チーム、女子32チームが参加。全国大会を狙うチームもあれば、地元の大会が目標のチームもある。

 最初の半日はゲームやクイズなどで遊び、大人も子供も笑顔になったところで試合が始まる。益子さんは、子どもたち一人ひとりに「監督が怒ったら知らせるんだよ」と声をかける。

 特別ルールのアイデアの土台には、大会をつくった益子さんの経験がある。バレーボールを始めた中学時代のことだ。「怒られてばかりで、毎日のようにぶたれていた。怒られないことだけを考えて、言われた通りのプレーだけをした。トスが来なければ怒られない、試合に出なければぶたれない、とも思っていた」。有望選手として選抜され、強化合宿に参加するようになると、他チームの指導者にほめられた。上手にできるからと、見本のプレーをさせられることもあった。うれしさと驚きを感じたが、「自分はダメな選手だと思い込んでいた」。ほめる大人を信じられなくなっていた。

 「大人になってもトラウマが残っている。ぶたれた友達を見て、自分がぶたれなくてよかったと思った罪悪感もある。小学生が怒られるところを見ると胸が苦しくなってしまう。だから子どもたちがスポーツを楽しいと思える大会を」と考えたという。

 福岡県福津市の小学生チーム指導者でもある大会運営委員長の北川新二さんは、「監督が怒ってはいけない大会と聞いて、最初は私も驚いた。最近は、大会中に益子さんにしかられる指導者が減った。意図は浸透している」と話す。

 昨年から神奈川県藤沢市でも同様の大会を開いている。益子さんは「声をかけてもらえばどこへでも行く。日本中で開きたい」と話している。(忠鉢信一)

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