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 「人類の進歩と調和」を掲げた1970年の大阪万博。その年に入居が始まった大阪市内の団地から、住民が次々去っていく。理由は老朽化による建て替えだ。だが住民の高齢化が進み、ほとんどが戻らないことを選んだ。高度経済成長期を住まいの面で支えた団地。懐かしい風景が移ろいゆく――。

 タンス、本棚、カラーボックス……。ゴミ捨て場を見て、行司(ぎょうじ)寿子さん(82)は困ったような表情で、「もう、捨てる場所がないね」と漏らした。

 大阪市東淀川区の団地「市営上新庄(かみしんじょう)住宅」。市は老朽化した建物について、耐震性が低いなどとして、建て替えを決めた。そのため引っ越す住民が捨てたものだ。自治会長を務める行司さんも、退去期限の来年1月末には、ここを去らなければならない。

 会社員の夫と小学生の長男と入居したのは70年6月。抽選に何度も落選し、18回目で射止めた。「団地が憧れでしたから」。転居後大阪市内のホテルに勤め、フロントに立った。万博目当ての客はひっきりなし。そんな時代だった。

 それから半世紀近くたち、今や3分の1が空き部屋。住民は80代前後が目立ち、小学生は数えるほどに。たまった新聞や、とりこまれない洗濯物から、ひっそりと亡くなっていることに気づいたのも一度や二度ではない。

 同居する長男(59)の仕事の…

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