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 平成が終わる。格差と貧困、単身世帯の増加と孤立、国家には巨額の借金。いくつもの負の要因が日本社会をさいなんでいる。

 平成の始まり、30年前の日本はバブル経済の絶頂期だった。当時、この国の現在の姿を、どれほどの人が予見していただろう。

 その中で、確実に予測できていたことがある。少子高齢化と人口減少である。将来人口の推計は確度がきわめて高く、数十年前から分かっていた。だが、有効な手は打たれなかった。

 では、今から30年先、未来を予想して手を打つことはできるだろうか。

 「2050年、日本は持続可能か」。そんな問いを立て、京都大学の広井良典教授らが、日立製作所の人工知能(AI)を用いて、35年先までの未来シナリオを予測した。

 約2万通りの道筋が導き出された。広井教授らは10年以内に大きな分岐が来るだろうことに気づいた。

このまま「都市集中型」が進むと、財政や雇用は保たれる。しかし人が減り、地域は廃れ、格差が広がる未来がみえてくる。「地方分散型」に進めても、未来は分かれる。地方を生かしつつ、財政も保つバランスのいい未来こそが「持続可能」なシナリオだ 京都大と日立製作所(日立京大ラボ)による35年後の未来の予測をもとに朝日新聞社作製 グラフィック=加藤啓太郎

 持続可能シナリオへと進むためには。国の政策に加えて「個人の生き方が分岐を左右する」と広井教授は考える。「右肩上がりの時代は、皆が東京を目指し、一本の坂道を集団で上っていた。人口減社会では、それとは違う新たな価値観が求められている」

 平成の先へ。新しい時代を感じ取り、新たな生き方を手探りする人たちも現れ始めた。

 例えば、被災地に。

 福島県南相馬市は東日本大震災の前、人口7万人台だった。被災で多くの人々が避難し、今は5万人台。40代以下は激減した。

 「人口が減って超高齢化した姿は30年先の日本であり、この土地は課題の先進地なんです」。但野謙介さん(36)は、口癖のように言い続けてきた。

 NHKの記者を辞めて生まれ故郷の南相馬に戻り、市議選に立候補した。自分探しのような20代のUターンは郷里に受け入れられ、トップ当選した。津波と東京電力福島第一原発の事故が町を襲ったのは、その数カ月後だった。

 米と水を手に、高齢者たちを一軒ずつ訪ね、逃げるよう説得する。

 「構わねえがら。もう十分だ。このまま餓死しても構わねえがら」。震災の数日後、ある老夫婦は、土地と共に死を覚悟していた。

 そんな体験を通じて気づいた。自分がなすべきは、この地面に張り付いているものを残すことなのだと。

 震災直後は被災企業を立て直し…

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