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 昨年3月に自ら命を絶った私立大阪緑涼高校(大阪府藤井寺市)の男性教頭(当時53)の死について、羽曳野労働基準監督署は、恒常的な長時間労働や上司との関係などが要因となった労災(過労自殺)と認定した。1月25日付。遺族側への取材でわかった。

 遺族側代理人の松丸正弁護士(大阪弁護士会)によると、男性は2015年度に教頭に就任。昨年3月29日未明、校内で自殺した。遺族側は、男女共学校への移行に伴う事務作業の増大などで時間外労働が月200時間超に達したり、上司から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受けたりして適応障害を発症したのが死の原因と主張。同校を運営する学校法人谷岡学園に損害賠償を求める訴訟を起こしている。

 一方、学園側は訴訟の中で長時間労働やパワハラを否定。亡くなった男性は管理職で自らの労働時間を裁量することができたとし、「学校内にいたと見込まれる時間すべてで業務に従事していたとはいえない」と反論している。また、上司の嫌がらせやいじめもなかったとして争っている。

 羽曳野労基署の労災認定は遺族側の主張に沿い、業務と死亡との因果関係を認める内容で、松丸弁護士は「教育現場のあらゆる責任を担わされる学校管理職の過重負担が社会問題化する中、大きな意義を持つ労災認定だ」と評価している。

 また、羽曳野労基署は男性について、教頭ではあったものの、残業代支払いの対象外となる労働基準法上の「管理監督者」にはあたらないと判断。生前の給与に、未払い残業代にあたる分を加えた額を基礎にして遺族への労災給付額を決めた。男性の働き方の実態に即した判断とみられる。(山崎毅朗、阪本輝昭)

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 〈学校現場の過重労働〉 文部科学省の2016年度教員勤務実態調査では、過労死ラインとなる月平均80時間(週20時間)以上の時間外勤務の教員が小学校で約3割、中学校で約6割を占めた。学校業務全般を担う副校長や教頭は、勤務時間が教員を上回る傾向も示されている。中央教育審議会は1月25日、教員の時間外勤務の上限を「月45時間、年360時間」とするガイドラインを盛り込んだ答申をまとめている。