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 新監督を迎え、関西のプロ野球2球団が1日、キャンプをスタートさせた。阪神の矢野燿大(あきひろ)監督(50)はこれまでとは正反対にも映る「自主性キャンプ」を掲げる。オリックスの西村徳文監督(59)はロッテを日本一に導いた実績があり、決して前評判の高くないチームの再建に乗り出した。

トラ矢野監督「プロだからこそ自主性」

 沖縄・宜野座のファンに指笛で迎えられた阪神の矢野燿大(あきひろ)監督は、歓迎セレモニーで「1カ月間、よろしくお願いします」とあいさつした。キャンプのテーマは明確だ。「競争。バチバチのライバル関係」。さらには「競争からチームは強くなる。オレの仕事は競争を激しくすること」とも言った。

 例年より多い43選手を1軍キャンプに連れて来た。昨季は2軍監督として接したメンバーも組み込み、ベテランに挑ませる。外野なら福留孝介や糸井嘉男の実績を認めつつ「若い選手は2人に勝てないと思ってやるか、追い越せるんやと思って練習するかは違う」。気持ち一つで選手は変わる。そう信じて言葉を投げかける。

 プロなら自らを奮い立たせて居場所を勝ち取るもの。そう思うべきだが、かつての自分はそうではなかった。中日に入団した頃、2学年上で不動の正捕手だった中村武志(現中日コーチ)を追い抜く気持ちを持てなかった。練習も指導者に言われたまま、数をこなすだけだった。

 転機は同期入団の選手が4年で戦力外になったこと。初めて危機感を覚え、自ら練習するようになった。昨季、2軍で指導する中でも「あきらめているヤツ、ケガして落ち込んでいるヤツもいた」。どうすればチームの中で生き残れるか、対話から始めた。まず方向性を決める。そうすれば選手は自分で動く。そのアプローチは「1軍でも大きくは変わらない」。

 金本知憲前監督はハードな練習を課して若手を引き上げようとした。「甘いと思われるかもしれないけど、プロだからこそ自主性」と言う矢野監督の手法は正反対に映る。3年前の新人王で不振が続く高山俊とも昨秋のキャンプで話し合った。近年は守備位置をたらい回しにされていた鳥谷敬は、本人の希望で遊撃手に再挑戦する。全体練習以外は自主性に任せ、強制はしない。確固たる信念のもと、新風を吹かせようとしている。(伊藤雅哉

オリ西村監督、まずは出塁率向上

 4年連続Bクラスで、22年間リーグ優勝から遠ざかるオリックス。再建を託された西村徳文監督は、宮崎市で外国人投手らと談笑するなど、リラックスムードで船出した。

 投手では金子弌大(ちひろ)と西勇輝、野手は中島宏之、小谷野栄一の両ベテランが去り、攻守両面で立て直しが必至。特にこだわるのは、昨季最下位の楽天と1厘差の3割8厘だった出塁率の向上だ。

 現役時代に4年連続盗塁王に輝いた指揮官は「いかに出塁して足を絡めた攻撃ができるか。駆け引きも必要」と話す。昨季の97盗塁はリーグ4位で、「隙あらば走る姿勢を相手チームに見せないといけない。成功率を上げたい」と、自ら指導することも考えている。

 ロッテの監督時代には、2010年にシーズン3位から日本一に。前評判は低かったが、打線を固定して選手各自の役割を明示し、つなぐ打線と救援陣の奮闘で下克上を成し遂げた。

 今のオリックスも、それと似通う部分がある。目立った補強はなく、前評判が高いとは言えない。だからこそ「競争してもらう。失敗をおそれず、積極的な気持ちでやってほしい」。2年目の福田周平を主将に指名したように若い力に期待する。福田は「去年から西村監督とは意思疎通ができている。監督が伝えたいことを誰よりも吸収してやりたい」と意気込む。ヘッドコーチとして3年間チームを見てきた指揮官の、腕の見せどころだ。(大坂尚子)