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 静岡県内で降水不足が続いている。静岡市内の安倍川では川の水が途切れる「瀬切れ」が広範囲で起き、大井川や天竜川では取水制限が行われている。生活や農業への影響も心配される。

 2月1日、静岡市の安倍川河口からさかのぼること約5・5キロ。市中心部の西側では川の流れが途絶えていた。500メートル以上ある川幅はほぼ砂利で埋まり、歩いて横断できる。所々にある水たまりには、カラスなどの鳥が集まって取り残された魚をついばんでいた。

 国土交通省静岡河川事務所によると、瀬切れが確認されたのは1月13日で、25日には河口から7キロの安倍川大橋付近まで拡大した。瀬切れは過去10年で7回確認されているが、例年は3~7日程度で回復することが多く、同事務所は「今回は長期で、範囲も広い」と説明する。

 静岡地方気象台によると、今年は平年より少雨・乾燥の傾向という。静岡市駿河区の降水量は平年1月で75ミリだが、今年は1月30日までにわずか1ミリ。31日に雨が降ったが、それも10ミリ程度だった。

 同市中心部に生活用水を供給する市の門屋浄水場では、昨年10月に標高83メートルまであった地下水の水位が1月までに2・3メートル下がった。市は「渇水対策準備会」を設置。同地で取水を始めた1933年以降で初めてといい、市上下水道局は「しばらく雨がなければ安倍川初の給水制限になるかもしれない」とする。

 渇水が続くと、漁業や生態系への影響も懸念される。2月中旬以降は安倍川をアユが遡上(そじょう)するが、水がなければ河口から先に進むことができない。安倍藁科川漁協の伊久美正男組合長は「遡上(そじょう)の時期が遅ければ生育不良になる。アユ漁収入が組合の柱なので心配だ」と語る。

 大井川上流にある静岡市葵区井川では、1月24日時点の1月の降水量が例年の7%ほどで、水源の長島ダムの貯水率も平年より約3割少ないという。中部地方整備局によると、大井川水系と天竜川水系では昨年12月から取水制限を実施し、節水を呼びかけている。(矢吹孝文)