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 3月29日の英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)まで2カ月を切った。英議会では2月14日、離脱協定案の採決がある予定だ。1月15日に歴史的大差で否決された案の修正案だが、EU側は一貫して条件変更などの再交渉を拒否している。仮に今回、英議会で可決されても、EU側が認める保証はない。なぜ、ここまでEUは頑固なのか。

もつれるアイルランド国境問題

 離脱協定案は、メイ英政権がEUとの間で昨年11月に合意した。この中で英議会が最も嫌がるのは、アイルランド島という一つの島にある「英領北アイルランド」と「アイルランド共和国」の国境問題に絡み、「非常措置」として設ける英EU間の「バックストップ(安全策)」だ。

 北アイルランドでは1960年代以降、親英国のプロテスタント系住民と、アイルランド統一を求めるカトリック系住民の対立が続き、テロなどが頻発。3千人以上の犠牲者を出した。「北アイルランド紛争」だ。98年の包括和平合意で、約30年に及ぶ紛争は収まった。北アイルランドの住民の間には、今もわだかまりは残るが、テロにおびえる生活は過去のものになった。英国がEUにいるおかげで、北アイルランドとアイルランドとの間は物理的な国境や検問もなく、モノやサービスは自由に行き来できる。

 ところが、ブレグジットで、英領北アイルランドとEU加盟国のアイルランドとの間に、何らかの国境管理が必要になる。英・EUは過去の紛争を繰り返さないため、両地域間で目に見える形で国境を復活させないことで合意している。問題なのは、その具体策がなかなか見つからないことだ。

 離脱協定案では2020年12月まで、完全離脱までの「移行期間」として、現状のEUルールを英国にもそのまま適用することになっている。この時間を使って、物理的な国境を発生させないような解決策を見いだす必要がある。

 これが見つからなかった場合、つまり非常事態の際の「保険」が、バックストップだ。英国がEUから抜けても、英国全土がEUの関税を適用するエリアに残ったうえ、北アイルランドだけにEU加盟国と同様の食品安全基準などを適用する。これで、両地域の間で税関検査などの国境管理は不要になる。

 だが、英国が本土と北アイルランドに分断されることにもなる。さらに、英国が勝手にバックストップの適用期間をやめられない取り決めも盛り込まれている。英議会は「英国の一体性を損なう」「永続的にEUに隷属しかねない」などと強く反発。結局、1月29日の採決で、メイ政権がEUと再交渉して、バックストップの問題点を修正することを離脱協定を結ぶ条件にした。

「これはゲームではない」

 EUがこの問題にこだわる最大の理由は、EUの根幹にかかわるからだ。

 EUはもともと、ヨーロッパの…

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