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 2016年夏に韓国に亡命した北朝鮮の太永浩(テヨンホ)・元駐英公使が朝日新聞とのインタビューに応じ、北朝鮮が今年、米国との対話路線を維持しながら経済発展に集中するとの見通しを示した。核廃棄はありえず、資本主義化が進めば社会に矛盾が広がるとし、今後、遅くとも20年以内に金正恩(キムジョンウン)体制は崩壊するとの見通しを示した。

 太氏は「核を放棄した正恩氏を、世界の誰が相手にするだろうか」と指摘。米朝協議が停滞し、北朝鮮は中韓に経済支援を求めると予想した。韓国が開城工業団地と金剛山観光のいずれかの事業の再開に応じれば、正恩氏はソウルを訪れると語った。

 正恩氏は昨年、軍や国家保衛省などの不正摘発を集中的に実施したという。太氏は「軍の力が弱まり、党の支配が強化されている」と述べた。

 北朝鮮は、停滞する米朝関係の打開を図るため、韓国を利用するだろうと指摘。南北関係の責任者で、党統一戦線部長を務める金英哲(キムヨンチョル)党副委員長が、引き続き米韓との協議を主導すると太氏はみている。正恩氏の妻、李雪主(リソルチュ)氏の存在感も高まっているという。

 太氏は英公使だったころ、訪英した金正恩氏の実兄、金正哲(キムジョンチョル)氏と面会したことがある。正哲氏は政治に全く関心を示さず、「興味を持つのは、ギターと音楽だけ」と述べた。

 1日の朝鮮中央テレビは、正恩氏が会場まで歩いたり、座って演説したりする姿を映した。最高指導者が演説している背後に国旗と労働党旗を立てたのも初めてという。太氏は「トランプ米大統領ら海外の首脳のスタイルをまねたのだろう。正常な国家の指導者になりたいという正恩氏の願望の表れだ」と述べた。(ソウル=牧野愛博)