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 東京の歌舞伎座と浅草公会堂で2日、平成最後の初芝居となる歌舞伎公演が開幕した。若手花形俳優が中心の「新春浅草歌舞伎」では第1部の上演に先立ち、恒例の鏡開きと振る舞い酒があり、朝早くから集まったファンがお目当ての役者をスマートフォンで撮影したり、屋号のかけ声をかけたりして、華やかな雰囲気に包まれた。

 若手俳優たちのリーダーとして5年連続で「浅草歌舞伎」に出演する尾上松也は「ひとつの節目として、これまで以上に出演者全員で団結して取り組んできたつもりです。みなが3役、4役とつとめ、支え合う公演。今から1カ月、切磋琢磨(せっさたくま)したい」と抱負を述べた。

 「浅草歌舞伎」は若手が古典の大役や初役に挑む登竜門として、松竹が1980年から地元の協力を得て続けてきた公演だ。今年の第1部では松也が源平の世界を描いた時代物「義賢最期(よしかたさいご)」で大役・木曽先生義賢に初挑戦。源氏再興の宿願を胸に、平家方との戦いの末に落命する木曽義仲の父を情感豊か、かつ勇壮に演じた。

 源氏の白旗を守り抜く決意を語るせりふや、2枚の戸板に上に渡した戸板上で立ったまま倒れ落ちる「戸板倒し」などの激しい立ち回り、絶命する際に仁王立ちのまま前のめりに倒れる「仏倒し」など、見どころの多い演目。初日は義賢を当たり役とし、今回の指導にあたった片岡仁左衛門も後方の客席で後輩たちの舞台を見守った。

 一方、歌舞伎座の「寿初春大歌舞伎」には松本白鸚、中村吉右衛門、中村梅玉らベテランや中村福助、中村芝翫、松本幸四郎、市川猿之助、中村七之助らが出演。夜の部では、吉右衛門が重厚な時代物「絵本太功記・尼ケ崎閑居の場」で当たり役の武智光秀(明智光秀)を演じ、すごみと風格を兼ね備えた武将を体現した。「松竹梅湯島掛額」は八百屋お七の世界を描いた、歌舞伎では珍しい笑劇。吉三郎(幸四郎)に恋するお七(七之助)を助けようとあの手この手で活躍する紅屋長兵衛を初役の猿之助が自在に演じ、観客の笑いを誘っていた。「浅草歌舞伎」と同じく26日まで上演される。

 このほか、2日には大阪松竹座でも坂田藤十郎らが出演する「寿初春大歌舞伎」が開幕。3日には東京で市川海老蔵が中心となる新橋演舞場「初春歌舞伎公演」が開幕し、松竹によるこれら4座に加え、国立劇場で尾上菊五郎らによる「初春歌舞伎公演」も始まり、全国5座で歌舞伎の初芝居競演となる。(藤谷浩二)