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 閉じ込められた部屋に水が注がれ、じわじわと水位が上がっている。首のすぐ下あたりまで。

 人口減少と少子高齢化、つまりは日本が直面する人口動態の危機について知れば知るほど、そんな心持ちになる。破綻(はたん)が確実に迫っているのに逃げられない。

 「エイジング・ニッポン」連載のため、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)を筆頭に、人口動態危機に詳しい何人もの専門家に話を聞いた。その中で、改めて衝撃を受けた言葉を挙げてみる。

 「日本では今後40年で3200万人もの生産年齢(15歳から64歳)人口が減る。これは現在の英国の就業者数とほぼ同じ」

 「団塊の世代が75歳になる2025年危機が注目されているが、これはただの始まりに過ぎない。その後、さらに大きな危機が待っている」

 「自らの遺伝子集団を保存しようとする生物としての本能から逸脱しているようだ。人類史上初の出来事が起きている」

 ため息しか出ない。

 さらに気が滅入(めい)る事実がある。人口動態には、モメンタム(慣性)がある、と社人研の前副所長、金子隆一・明治大特任教授は言う。

 「人口減少は巨大タンカーのように、急に加速したり止まったりできない。出生率のエンジンをふかして人口置換水準まで回復しても、人口はしばらく減り続ける」

 これは恐るべきことだ。

 親の世代と比べて人口が増えも減りもしない「人口置換水準」の合計特殊出生率(女性が一生で生む子の数の平均)は現在、2・07程度である。今年から出生率が奇跡的に改善し、多くの家族で子どもを2、3人ほどもうけたとしても、人口の減少が止まるのは80年ごろになるという。

 これは親になる年齢の人たちがすでに減っていることに加え、人口が多い高齢世代の死亡数が今後しばらく増え続けることによる。

 ちなみに人口の将来推計は、景気変動などの他の予想と比べて、極めて信頼性が高い。このことについて、社人研の是川夕・国際関係部第二室長から興味深い話を聞いた。

 現在の日本が直面している人口動態クライシスが、すでに戦前に予想されていたというのだ。第2次世界大戦での敗戦と復興、高度経済成長といった日本の歩みを知るはずもない時代に。

 1939年(昭和14年)、社…

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