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 私の友人(34)はちゅうちょしない。新卒で入った証券会社を5年で辞め、大学時代の知人と福祉関係の会社を起業。それも辞めて、経営を学ぶために、コンサルティング会社に入る……。そのたびに住む場所を変え、結婚している妻と国をまたいで別居状態になることもしばしば。

 そこまでしても、何かに頼ることなく、自分の手で未来を切り開きたいらしい。

 世間一般からしたら、「一つのことをやり遂げてなんぼ」だの「早く落ち着いた生活をしろ」だの言いたくなると思う。私も友人にそんな「小言」を並べてしまった。

 だが、そうした仕事や住む場所にとらわれる生き方はもはや古く、逆にリスクなのではないかと、今回の連載「エイジング・ニッポン」の取材を通して思い至った。

 企業に属さないフリーランスと呼ばれる人や、自分で会社を立ち上げた起業家たちに会った。正直に言うと、私はそうした生き方をしたいと考えたことは一度もない。現に、「会社を辞めてフリーの物書きになったらば?」と想像したときに、真っ先に頭に浮かんだのは「何のアルバイトをして食べていこうか」だった。なんと志が低いのかと、自分にガッカリした。

 頭をボカッと殴られたような衝撃を受けたのは、マレーシアの首都クアラルンプールで、年齢が一回り以上離れた若者たちと出会ったときだった。

 19歳で起業した永田公平さん(20)が経営するシェアハウスに出入りする土戸悠生さん(22)は、パソコンの画面に映るグラフを見せて言った。

 「これ、ヤバくないですか」

 2050年までの日本の総人口や国内総生産(GDP)のグラフをつくり、他国と比較していた。誰かに頼まれてつくったわけではない。高校、大学と海外に進学し、日本を客観的に見るようになったという。どんどん存在感が薄まる母国を案じていた。「日本が大好きだけど、大嫌いな部分もたくさん見えてきた」

 故郷の浜松市にたまに帰ると、日本の大学に通う同級生たちの危機感のなさに驚くという。「学校をサボって飲み会をするのがかっこいい、みたいな。話が合わないと感じる時がある」

 そんな土戸さんは今春、日本に帰国し、日本の企業に就職する。

 「どれだけ日本社会であらがえ…

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