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 静岡県島田市にある天台宗の古刹(こさつ)・智満寺で7日夜、16世紀から続く奇祭の「鬼払い」があった。立春前後に行われる追儺(ついな)行事の一種で、鬼に見立てた病気の神を追い払い、厄を落とすという。

 午後10時ごろ、住職の読経が続く中で堂内の灯が次々と消え、暗闇に。インドネシアのガムランのような激しいかねの音がうねり、床を棒で突き、足で踏みならす音が重なる。青、赤、白の三鬼が金棒の先にたいまつをともして現れ、僧や参拝客に襲いかかった。

 だが、かねの音と読経と魔よけの唱和を聞いて、鬼は力尽きて本堂の外へ逃げ出し、参拝客らにたいまつを投げ付けた。参拝者から激しく水がかけられる。たいまつの燃えかすを拾い、玄関に飾ると、むこう1年間、家内安全と無病息災が保たれるという。

 地区の世帯数は20戸余りにまで減り、鬼払いの担い手の過半数が島田の市街地からの応援組という。支えているのは「珍しい祭りを残したい」という熱意だ。鬼払いに訪れたのは3回目という島田市の長谷川賢志さん(38)は「この空間にいるだけで、御利益がある気がします」と話した。(阿久沢悦子)