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 メキシコ国境での壁建設の予算をめぐる与野党の対立で、米政府機関の一部が閉鎖に追い込まれている問題で、トランプ米大統領は8日夜(日本時間9日午前)、就任後初めて、大統領執務室から「ゴールデンタイム」に合わせた全米中継のテレビ演説を行い、「南の国境で、人道上そして国家安全保障の危機が高まっている。米国民が制御不能の不法移民に被害を受けている」と訴えた。

 政府機関の閉鎖が18日目に入り、異常事態が長期化するなか、トランプ氏が目玉公約である壁建設を「国家の危機」とあおって正当化することで、反対する民主党を牽制(けんせい)した形だ。

 トランプ氏は演説で、不法移民による犯罪や人身売買、薬物取引などの数を挙げながら「国境の壁は国境管理において死活的に重要だ。警備のプロたちが必要としている」と強調。国家非常事態宣言を出して、議会の承認を得ずに建設費を捻出し、壁の建設を強行する構えも見せており、世論の環境整備も図ったとみられる。ただ、テレビ演説では非常事態宣言には言及しなかった。

 最後に「政府の閉鎖が続く理由はたった一つ。民主党が国境の安全に関する費用を認めないからだ」と野党を攻撃した。

 一方、民主党もペロシ下院議長らがテレビ演説し、「大統領は恐怖をあおるが、我々が事実を言う。米国の公共サービスを人質に取ったのは大統領だ。大統領は危機を生み出すことをやめ、政府を再開しなければならない」と反撃した。

 トランプ氏と民主党幹部は9日に再び協議する予定だが、妥協点は見つかっていない。トランプ氏は10日、テキサス州の国境の町マッカレンを訪れ、改めて壁建設の必要性をアピールする予定で、対立はさらに続く可能性が高い。(ワシントン=土佐茂生)