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 名古屋市港区の「ポートメッセなごや」で19日と20日に開かれる第12回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)の本戦で、高校生棋士の藤井聡太七段が2連覇に挑む。藤井七段の師匠で、朝日杯に引き継がれる前の2001年度の朝日オープン将棋選手権で準優勝した杉本昌隆七段に展望を聞いた。

 ――今回の顔ぶれを見た印象を教えてください。

 持ち時間が40分と短く、より直感力や反射神経が要求される棋戦。1日に2対局することもあり、体力のある若手に有利だろう。例年、棋士になって数年の若手が勝ち残るケースもあるが、実績のある実力者がそろった。愛知県出身の豊島将之二冠がいないのは意外で寂しい。

 1、2回戦(準々決勝)が名古屋対局となるトーナメントのブロックは、やはり藤井七段に注目したい。初戦の稲葉陽(あきら)八段には17年の公式戦で負かされている。2戦目はどれだけ成長を見せられるか。糸谷哲郎八段と菅井竜也七段は早指し棋戦にめっぽう強い。慎重に考えるタイプの藤井七段はペースがつかみにくく、やりづらい相手だろう。藤井七段は曲者(くせもの)ぞろいの厳しいブロックに入った。反対側のブロックは広瀬章人竜王、渡辺明棋王、羽生善治九段ら重厚なメンバーがそろった。

 個人的には、準決勝で久保利明王将と藤井七段の対戦が見てみたい。久保王将は棋界きっての「振り飛車」戦法の使い手で、野球に例えればサウスポーの剛腕投手。対照的に「居飛車」党の藤井七段は、いわば本格派右腕の若いエース。公式戦でまだ対戦のない2人の対局が実現すればおもしろい。

 ――稲葉八段は、「藤井キラー」とも称される井上慶太九段の一門です。

 一門が特定の棋士に備えて共同研究することは、あまり聞いたことがない。相性が悪いのは事実だが、純粋に井上一門の個々の能力が高いから。お互いに気にしていないと思う。

 藤井七段は稲葉八段に前回の対戦で、力勝負で負かされた。ちょっと力の差を感じたが、藤井七段はそのころよりもはるかに強くなっている。どのくらい差が縮まっているのか楽しみだ。当日に自宅から通える名古屋で対局できる利点もある。食事や枕、勉強するツールなど、日常の生活リズムのまま対局できる。

 ――この一年の藤井七段の成長をどう感じていますか。

 技術は極端に変わっていないが、安定感が増した。どんな展開になっても、どっしりと構えられるようになった。トップ棋士との対局や、棋戦優勝の実績が自信になって指し手に表れているからだと思う。足りないものは経験値。10代のうちに、どれだけ大きい勝負をたくさん経験できるかだ。

 昨年は朝日杯の優勝で勢いがつき、新人王獲得や最年少記録での通算100勝達成など、その後の活躍につながった。今年も朝日杯を皮切りに、一層の飛躍を期待したい。

 ――藤井七段の2連覇の可能性は。

 実績は全員藤井七段よりも上で、だれが優勝してもおかしくない。あえて優勝争いの軸になりそうな棋士を挙げれば広瀬竜王、渡辺棋王、羽生九段、菅井七段、そして藤井七段。特に羽生九段は3連覇を含む優勝5回と、朝日杯に抜群の強さ、相性の良さがある。藤井七段は初戦の稲葉八段との対局が試金石で、名古屋で連勝できれば2連覇の可能性が見えてくるだろう。期待も込めて、連覇の可能性を3~4割程度と予想したい。(聞き手・滝沢隆史)

大盤解説会に対局後の棋士登壇

 第12回朝日杯将棋オープン戦の名古屋対局には、本戦出場16人のうち8人が登場。19日は久保利明王将と屋敷伸之九段、行方(なめかた)尚史(ひさし)八段と菅井竜也七段が、20日は藤井聡太七段と稲葉陽八段、佐藤天彦名人と糸谷哲郎八段が1回戦で対局する。木村一基九段らの大盤解説会もあり、対局後の棋士も登壇する。

 観戦券は20日が完売。19日も一部完売し、A席5千円、B席4千円のみ。両日とも大盤解説会のみは2千円。詳細は公式サイト(t.asahi.com/asahihai/)で。