【動画】自作の手回しパイプオルガンを演奏する増田秀己さん=臼井昭仁撮影
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 欧州の街角などで親しまれている手回しパイプオルガン(ストリートオルガン)を、トヨタ自動車の元技術者が自作した。柔らかな音色と珍しさが受け、子ども向けに演奏を依頼されるなど人気は急上昇中だ。

 増田秀己さん(70)=愛知県豊田市=は、アマチュア音楽家による「センチュリー室内管弦楽団」の団長だ。トヨタに勤務しながら同楽団のチェロ奏者をしていた2004年7月、旅行先の長野県軽井沢町で初めて手回しパイプオルガンに触れ、魅了された。工芸品なので価格は数百万円する。そこで「構造は難しくない。自分で作ってみよう」と決意した。

 手回しパイプオルガンは、ハンドルを回して空気を送り、パイプを吹き鳴らす。楽譜はロール紙で、空気が通る無数の穴(3ミリ程度)が開いており、穴の位置に応じてパイプが様々な音色を奏でる。

 増田さんが半年かけて作ったオルガンは幅90センチ、高さ80センチ、奥行き50センチ。3オクターブの音が出せる大小37本の木製パイプが入っている。空気を送る右のハンドルと、楽譜を流す左のハンドルを回すと、オルゴールのように曲が流れる。

 楽譜を流すローラーや、空気を調整するバルブなどの部品は、ホームセンターで調達した。ハンドルなど大部分は木製で、自宅で工具を使って細工した。ロール紙の楽譜も、自分で穴を開けて作った。3分間の曲だと、ロール紙の長さは約12メートルになる。

 しばらくは自宅で演奏を楽しむだけだったが、5年ほど前から、うわさを聞きつけた市の関係者や子育て団体から演奏を依頼されるようになった。

 子どもたちが好きな曲を選び、演奏もしてもらう体験会に多くの時間を割いている。依頼があるとオルガンを車に積んで会場へ。ハンドルを回すだけで曲が流れるので、子どもたちは大喜びだという。昨年12月はクリスマスコンサートだけで4カ所に招かれるなど、依頼は増えつつある。曲は、クラシック音楽から「アンパンマンのマーチ」「ドラえもんのうた」まで、103に増やした。

 オルガンの入手方法を聞かれ、増田さんが「自分で作った」と答えると誰もが驚くという。「音楽に加え、ものづくりにも興味を持ってくれればうれしい。また、自分で作ってみたいという人がいればぜひ協力したい」と話している。

 問い合わせは、センチュリー室内管弦楽団のホームページへ。(臼井昭仁)