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 「毎月勤労統計」が不適切な手法で一部調査されていた問題で、厚生労働省が本来の調査手法に近づけるための補正を昨年1月調査分から行っていたことが分かった。こうした手法の変更については公表されていなかった。厚労省は11日に問題が発覚した経緯などの検証結果を公表するが、不適切調査を補正によって組織的に隠蔽(いんぺい)していた疑いも出てきた。

 この統計は、働き手の賃金や労働時間の変化を示す指標で、景気動向指数などの政府指標や、雇用保険の給付水準の算定にも用いられている。

 厚労省が都道府県を通じて調査するが、本来はすべてを調べるルールになっている500人以上の大規模な事業所について、東京都分は約1400の調査対象のうち3分の1ほどにあたる約500事業所だけを抽出して調べていた。こうした不適切な手法は、2004年から始まっていた。

 厚労省によると、少なくとも直近の昨年10月、11月分の調査では、結果の正確性を高めるために、抽出した約500事業所を約3倍にして本来の調査対象数に近づける「復元」の計算をしていた。関係者によると、この作業を始めたのは昨年1月調査分からだったという。ただ、こうした手法の変更は公表されず、前年同月との比較データなどが発表されていた。

 昨年1月分からは、毎月勤労統計の調査対象を一部入れ替えるなどの算出方法の変更があった。この変更をするため、統計システムを大規模に変更する必要があった。関係者によると、これに合わせて、不適切な調査手法で行われていた東京都分について、本来の調査対象数に近づける「復元」を行うようにシステムを変更したという。それまでは、抽出した少ない数値のままで集計していたという。

 比較的賃金の高い大規模な事業所が本来の3分の1ほどしか加えられなかったことで、それまでは本来より低い結果が出ていたとみられる。昨年1月分からの統計全体の算出方法の変更後、現金給与総額が昨年6月に前年同月比3・3%と21年5カ月ぶりの高い伸び率となるなど賃金が大きく増える結果となっている。