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 救急車内から病院の診察室、電車内……。覚醒剤使用をめぐる事件の判決で東京地裁は10日、警察官が職務質問から4時間にわたって被告の男に密着した行為が「任意捜査の限界を超えて違法」と判断した。ただ、家令(かれい)和典裁判官は「違法の程度は重大とまでは言えない」と述べ、密着の末に採取した尿の証拠能力は認定。懲役2年の有罪を言い渡した。

 覚醒剤取締法違反(使用)の罪で起訴されていたのは、住所不定で自動車販売業の男(51)。判決によると、2016年8月の夜、東京都台東区の路上で警視庁の警察官から職務質問を受け、尿の任意提出を求められたが拒んだ。

 男は立ち去ろうとした際、段差でつまずいて倒れ、自ら119番通報して救急車で病院に向かった。警察官は2人が救急車に同乗し、警察車両でも追いかけた。病院では診察室に入り、その後も被告を追い続けて飲食店に入ったり電車内で取り囲んだりして、採尿に応じるよう求めた。別の警察官が裁判所から得た令状で強制的に採尿したのは4時間後。覚醒剤の成分が出たため、逮捕した。

 家令裁判官は、被告が携帯電話で撮っていた画像などをもとに、一連の捜査状況を認定。「4時間にわたって追尾した証拠の収集過程は行き過ぎ」と述べた。一方で、拘束はしていないなどとして、押収した尿の証拠能力を否定する「重大な違法」は認めなかった。(阿部峻介)