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 愛知県東郷町で生花店を営む母と娘は、現役引退を表明した名古屋グランパスGKの楢崎正剛さん(42)と、15年来のつきあいがあった。思い出すのは、無口だけど、仲間やクラブを決して悪く言うことなく、後輩に慕われていた姿だ。2人は「いつか指導者として活躍して欲しい」と願う。

 11日の引退会見。名古屋市の会場に「1」を模した生花があった。白いバラやコチョウランは背番号、赤のダリアはチームカラーを表現していた。生けたのは、約15年の親交があった生花店「ガーランド」のオーナー林小夜子さん(69)と娘の千夏さん(36)。「まだ引退は信じられない。寂しい」と口をそろえる。

 出会いは2005年ごろ。グランパス練習場近くで2人が営むカフェに来たのが、楢崎さんだった。その後も選手と来てくれた。

 「無口で飾らない。若い子や新しく入団してきた選手をよく連れてきて一緒にご飯を食べていました」と小夜子さん。その一人は、いま日本代表を引っ張るDF吉田麻也選手だ。浦和から名古屋に移籍してきた田中マルクス闘莉王選手には「肉ばっかりだから、野菜食べな」と話していた。

 15年にカフェをやめた後も年に数回、グランパスOBと一緒に家族ぐるみで食事をしている。楢崎さんは今も時折、プレゼント用に花を注文してくれる。

 昨年9月の食事会。集まったOBや知人と思いを伝えた。「引退はしないで。別のチームでもいいから現役を続けて」。楢崎さんは去就は明言せず、「オファーがあるか分からない」とかわした。楢崎さんは足を引きずっていた。当時手術を受けた後で「ひざがぐちゃぐちゃ」とも話していたという。

 「楢崎さんは名古屋の顔。私たちにとって試合に出ているのは当たり前。泣き言を決して言わない方ですが、20年間、成績の責任やけがとか、いろんなものと戦っていたのかも」と千夏さんはねぎらう。

 記者会見の日、千夏さんは自ら花を会場に届けた。そこにメッセージボードも添えた。楢崎さんのチャント(応援歌)の歌詞「俺らの誇り」を参考にした。

 「名古屋の誇り!! 未来へ向かってキックオフ!!」(斉藤佑介)