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【アピタル+】患者を生きる・食べる(腸閉塞の予防)

 腹腔(ふくくう)鏡手術を含めた腸閉塞(へいそく)の再発予防について、北里大学北里研究所病院(東京都港区)の渡辺昌彦院長(65)に聞きました。

――腹腔(ふくくう)内の臓器の手術が原因で腸の癒着が起き、それが腸閉塞(へいそく)の原因になることが少なくありません。患者さんにとっては、せっかくひとつの病気が治ったのに、その治療が原因で別の病気になるのはつらいことです。最初の手術の際に、なるべく腸閉塞が起きないような手術ができないのでしょうか。

 傷口が大きくて、傷口を修復するたんぱく質がたくさん分泌されたり、出血が多かったりすると、後で腸の癒着が起きやすくなると考えられています。まずは、必要最小限しか切らず、出血も最小限にとどめる手術をすることが大切です。

 腹腔内の臓器にできたがんの手術をする際には、転移を防ぐためにリンパ節郭清(がんの周辺のリンパ節を切除すること)を行いますが、腸閉塞を予防するという意味でも、患者さんへの負担を減らすという意味でも、不必要に広範囲のリンパ節郭清をするのではなく、適切な範囲で行うことが大切です。

 最近はシート状やスプレータイプの癒着防止剤が出ています。術後に、傷口や腹腔内に防止剤を添付することで、癒着がかなり防げます。

――患者本人が何かできることはありますか?

 一般論として、動いているものはどこかにくっつきにくい、つまり癒着しにくいですよね。それと同じで、腸も動いている方が、癒着しにくいと考えられます。ですので、可能な限り、手術後に早く体を動かして下さい。また、最初は少量の水分や重湯でいいので、可能な範囲でなるべく早く飲食も再開して下さい。

――腸閉塞の原因となっている癒着をはがすのに、腹腔鏡手術の方が再発リスクが低いのでしょうか。

 北里大学や、海外の研究チームの比較研究から、腹腔鏡手術の方が癒着が起きにくいとわかっています。

腹腔鏡手術難しい場合も

――すべての患者さんが腹腔鏡で手術できるわけではありませんよね。

 そうです。癒着が起きている部位や、範囲、程度によっては、腹腔鏡で手術できないこともあります。全般的な傾向としては、子宮筋腫や卵巣囊腫(のうしゅ)、虫垂炎など、良性疾患の手術の後の癒着は腹腔鏡で手術しやすいです。また、悪性腫瘍でも、胃や胆囊(たんのう)、結腸の大きくない手術の後の癒着も腹腔鏡でできる可能性が高いです。

 放射線照射後、リンパ節を広く覚醒した後、直腸がん手術の後の癒着は難しい場合が多いと言えます。

――いずれにしても、腹腔鏡で癒着をはがす手術には、高度な技術が必要ですよね。

 日本内視鏡外科学会の技術認定を取得している医師のうち、腸が専門の医師なら大丈夫です。同学会のサイトで検索できます(http://www.jses.or.jp/about/certification.html別ウインドウで開きます)。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・大岩ゆり)