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 新潟県内の認知症高齢者数は2015年に最大11万人、25年に15万人――。厚生労働省の推計を元に県が算出したデータが示す通り、今では身近な病といえる認知症。症状が進行する中で、家族や本人が不安を抱え込んでしまうことも少なくない。認知症の進行と前向きに向き合い、職場で手伝いを続ける妻と、支える夫に話を聞いた。

 新潟市西蒲区の阿部まやさん(59)は15年春、若年性アルツハイマー型認知症と診断された。兆候はその3年ほど前からあった。障害者支援施設で看護師として働いていたが、メモを取ろうとしても漢字が浮かばなかったり、話したい言葉が出てこなかったり。異変に気づいた職場の人たちの勧めで受診して発覚した。

 「認知症の前段階のMCI(軽度認知障害)の時期に気づいていれば」と夫の晋哉さん(65)は悔やんだ。でも、まやさんの切り替えは早かった。「慌ててもしょうがない。やりたいことをやって、楽しみたい」。診断結果を職場に伝え、相談した。看護師としての仕事は難しいが、自分ができる仕事を続けられることになった。

 進行はゆっくりだが、少しずつできないことは増えてきた。施設到着後に着替えをするなど、毎日決まっている動作の手順が分からなくなることもある。3年ほど前からは職員としてではなく、利用者と絵本を読むなどの手伝いをしている。まやさんは「できないことはあるけれど、できることは手伝いたい。毎日職場に行くのが楽しいから」と話す。

 やることは大きく変わったが、周囲の人の協力で、慣れ親しんだ職場に今も通っている。送迎や料理などは晋哉さんがサポートする。晋哉さんは「何かができなくなったとき、少しだけ手の出し方を変える。何でも今は二人三脚です」。

 地域の人にも支えられている。月3回はコーラスの練習に通い、公民館での発表会に向けて合唱練習をする。地元の高齢者らの集いにも参加し、おしゃべりしたり、餅つきをしたりしている。「引きこもるのはつらいだけ。毎日の居場所があることで、気が楽になる」とまやさん。認知症の人たちが気軽に集える場所が増えることを願っている。

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(加藤あず佐)