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 閃光(せんこう)が走り、爆風が窓ガラスを吹き飛ばした――

 2003年9月16日午後1時すぎ、名古屋市東区の大曽根駅前ビルに、男(52)が人質を取り、立てこもった。まき散らしたガソリンに火をつけ、男と人質の男性(41)が焼死、愛知県警機動捜査隊の村瀬達哉(31)も殉職した。爆風に吹き飛ばされながら一命を取り留めたのは、容疑者との「交渉人」を任せられた捜査1課の小西靖之(45)だった。

 秋晴れが広がるこの日。午前10時すぎに、ビル4階の宅配業者の名古屋支店で、男が人質をとって立てこもった。一報を受けた小西が現場に着くと、ビルの廊下まで揮発性の高いガソリンのにおいが充満していた。当時、ガソリンを使った人質立てこもり事件は全国でも例がなく、県警は対処に右往左往した。

 「ほかの者は下げさせる。話し合おうよ」。小西は単独で男の説得を始めた。当時4人いた県警の説得班のなかで、説得交渉の実績で右に出る者はいない、との自負もあった。人質は支店長と男性従業員7人。宅配の委託ドライバーだった男は、支店長を通じて未払い分の給料を要求していた。

 立てこもりが始まって2時間半。男は突然、人質を解放すると告げた。その30分後、支店長を除く7人を解放した。「給料振り込みの確認が終了したら、でてこまい」。小西には解決に向かう希望にも思えた。だが直後、絶望的な光景が飛び込んできた。

 男の両手には、発煙筒がたかれ…

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