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 堺市南区で昨年7月、大型バイクに「あおり運転」を続けた末、車で追突してバイクの大学4年の高田拓海さん(当時22)=同市西区=を死亡させたとして殺人罪に問われた中村精寛被告(40)の裁判員裁判の初公判が始まった。

 「なぜ、拓海が殺されなければならなかったのか。自分の目・耳で確かめたい」

 高田さんの40代の母親は公判前、報道陣あての文書でそうコメントした。この日は被害者参加制度に基づき、高田さんの妹と弟とともに検察官側に着席。被告が入廷するとすすり泣き、ハンカチで目をおさえた。今後の公判では自ら意見陳述するほか、代理人弁護士を通じて求刑について意見を述べることもできる。

 高田さんの叔父忠弘さん(42)によると、高田さんは幼い頃に両親が離婚。母親と妹、弟との4人暮らしで、料理や洗濯をして一家を支えた。今春には大学を卒業し、大好きだったバイクの販売会社への就職も決まっており、社会人生活を楽しみにしていたという。忠弘さんは「家族思いで、しっかり者だった」と振り返る。

 母親は今も毎日、高田さんの分の食事をつくり、自宅の遺影の前に供える。事件後しばらくは遺影のそばを離れられず、外出もままならなかったが、忠弘さんの助言で昨年末からようやく仕事を再開したという。

 高田さんの家族のもとには被告からの連絡や謝罪はなく、家族は被告への厳罰を望んでいるという。この日傍聴席に座った忠弘さんは公判前、「拓海は車を凶器にした通り魔に殺されたとしか思えない。どんな刑になろうと被告を許すことはできない」と話した。(坂東慎一郎)