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 小学校6年生の時、東日本大震災に襲われた。原発事故で故郷を離れた。その時の子どもたちが13日、成人式で再び地元に集まった。

 東京電力福島第一原発事故で全村避難となった福島県飯舘村では新成人42人が出席した。事故から9カ月後、隣町で小学校の卒業式が開かれ、「20歳の自分への手紙」を書いた。13日の成人式で手紙を開封し、故郷への思いを新たにした。

 大学2年の中川昭さん(20)は先の見えない避難生活の中で記した自分の夢や決意に目を通し、「放射能が消えていたら家と牧場をつくってほのぼの暮らすんだぞ」とつづった手紙を披露した。「緑が美しい元の村に戻ってほしいという思いを込めた。放射性廃棄物を詰めた袋が村内にまだ残っているが、地元で成人式ができてよかった」

 岩手県大船渡市では333人が門出を祝った。岩手医科大2年の田中彩絵美(さえみ)さん(20)は、一緒にこの日を迎えられなかった幼なじみの写真を手に参列した。

 田中さんはひざの上に松原啓太さん(当時12)の写真を置いた。卒業アルバムに載ったあどけない笑顔にスーツ姿。みんなと同じ正装にしてあげようと、田中さんがスーツとネクタイを「プレゼント」し、写真店で合成してもらった。

 2人は保育園、小学校が同じで家も近く、いつも一緒。「本当にニコイチだった」。震災時は6年2組の同級生。啓太さんは家族と一緒に車で逃げる途中、津波にのまれた。市内の小中学生では、ただ一人の津波犠牲者だった。

 「心がからっぽになった」。泣けて仕方がない夜は、啓太さんからもらったパーカを着るとようやく眠りにつけた。

 2年前、姉の成人式を見て「一緒に出たい」と思った。式の中の黙禱(もくとう)の時間。天国で20歳を迎えた幼なじみに伝えた。「啓太くん、成人おめでとう」(深津弘、渡辺洋介)