俳優座の先輩で、1964年に市原さんと「ハムレット」で共演した俳優の仲代達矢さん(86)は「天性の女優、俳優になるべき俳優でした」と悔やんだ。

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 俳優座の養成所から巣立った俳優のなかでも、とりわけ素晴らしい可能性、才能を感じさせる方でした。

 やはり一番記憶に残っているのは、日生劇場で私がハムレットを、市原さんがオフィーリアを演じた時のことです。彼女は後輩で、まだ20代だったと思いますが、声のすばらしさに感動したのを覚えています。

 映像でも活躍された方ですが、演劇の役者にとってはやはり、声というものが猛烈に大事なんです。世阿弥が、演劇役者は「一声、二振り、三姿」と言ったことがあります。姿かたちよりまず、俳優は声なのだと。彼女の声のすばらしさは日本の演劇界の宝でした。ただきれいというだけではなく、声の質をもって、ものを言うという才能。1500席の劇場で、マイクなしで己の声を通していく力を、彼女は先天的にもっていた。本当に素晴らしい方だった。心からお悔やみ申し上げます。