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 ベンジョコオロギとも呼ばれるカマドウマやスズメバチ、ゴキブリなどは、ヤッコソウという植物の花粉を運んでいる――。どちらかといえば「嫌われ者」の虫たちが生態系の中で果たす意外な役割を、神戸大の末次健司講師が突き止め、専門誌「プラント・バイオロジー」に発表した。

 ヤッコソウは光合成をせず、シイの根などに寄生する植物で、高さ5~7センチ。日本では四国と九州に分布する。開花した様子が、大名行列の奴(やっこ)に似た姿をしていることから命名された。「奴草」とも書く。これまで、メジロなどの鳥が蜜を吸いに訪れることは知られていたが、繁殖に不可欠な受粉をどんな生物が担っているのかは謎だった。

 末次さんは2008~11年、開花時期の10~11月にヤッコソウを訪れる生物を観察した。昼と夜の計100時間について、訪れた生物の種類や回数、体に付着した花粉の数などを調べ、受粉への貢献度を調べた。

 その結果、朝から夕方にはスズメバチ類が11~183回、主に夕方~夜間はカマドウマ類(41~89回)やゴキブリ類(35~67回)がよくヤッコソウを訪れていた。アリや小さなハエの仲間も100回以上観察されたが、この3グループはアリやハエよりも体に付いた花粉が多く、受粉への貢献度が高かった。糞虫(ふんちゅう)やクワガタムシなども観察された。一方で、鳥はほとんど来なかったという。

 末次さんは「嫌われている生き物を含めて、思いもよらない生物が、生態系の中で重要な役割を果たしている例はまだまだあると考えられる」と話している。論文はサイト(https://doi.org/10.1111/plb.12889別ウインドウで開きます)に掲載されている。(小坪遊