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 訪日外国人客の急増は、外食産業に変化をもたらしている。千房ホールディングス(HD、大阪市)は1月17日、イスラム教徒(ムスリム)でも食べられるお好み焼き屋を開店。食事制限のある訪日客も呼び込もうと、イスラム教の戒律に従って調理したハラールのメニューなどが広がる。

 千房の新たな店舗は、訪日客が多い大阪市中心部の道頓堀沿いのビルに入る。イスラム教で禁じられている豚肉を使わず、牛肉や海鮮を入れたお好み焼きを、税抜き1650円から提供していく。調理器具もこの店専用とし、戒律に従ってソースもアルコール不使用のものにした。祈禱(きとう)室も備え、ムスリムの留学生をアルバイトとして雇うなど、サービス全体に気を配る。

 同じビル内の千房の従来店は、客の約8割が訪日客だった。「豚肉を抜いて注文できるのか?」と聞かれることも多く、大阪の味を広く楽しんでもらうことにした。千房HDの橘川昭文執行役員は「日本の市場が縮小するなか、多様性の対応が必要。いまは千載一遇のチャンスです」。年内にインドネシアやマレーシアにも出店する計画だ。

 日本政府観光局が発表した2018年の訪日客は約3119万人。中国や韓国が中心とはいえ、ムスリムの多いマレーシアやインドネシアが着実に増えている。ここに商機を見いだす飲食店が相次いでいる。

 「やはり本場は違う」。シンガポールから来たムスリムの姉妹は昨年11月、大阪市の「日本食レストラン 祭」でたこ焼きやから揚げをほおばった。16年にできたムスリム対応の先駆店の一つで、刺し身やすしなど人気の和食をそろえる。訪日客自身がたこ焼きやお好み焼きを作れるように器具を貸し出す。横浜市の2号店「MINATO」では牛肉を使った角煮を提供。ムスリム対応のシューマイも考案中だ。

 カレーチェーンの壱番屋は昨年8月、ハラールに対応した東京・秋葉原に続く2号店を、新宿に出した。ムスリム圏に多い大家族を想定したスペースを確保し、「お子様メニュー」も用意。インドネシアの工場でつくったカレーソースを逆輸入している。新宿の店を担当する岩坪良司さんは「『食べるのに困っていた。ありがとう』と言われると、何よりうれしい」と話す。

 自治体もハラール対応を支援していて、東京都台東区は、飲食店に対してハラールの認証取得の費用を一部助成している。

 横浜ロイヤルパークホテル(横浜市)は昨秋、レストランを改装。訪日客には、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)など考え方やアレルギーで食事に制限のある人も目立つため、様々な志向に対応するようにしたという。(久保田侑暉、伊沢友之)