[PR]

 東日本大震災の津波で職員28人が犠牲になった岩手県大槌町旧庁舎の解体差し止めなどを求めた住民訴訟の判決で、盛岡地裁(中村恭裁判長)は17日、原告の請求を退けた。町は庁舎外壁の時計を撤去するなど解体の準備を始めており、18日に本格的に解体に着手する方針。

 津波で亡くなった町職員の母親(65)と、住民団体代表(46)の2人が、平野公三町長を相手に住民訴訟を起こした。原告側は、旧庁舎の文化的・経済的な価値を十分検討せず解体工事を決めたのは地方財政法に違反すると主張した。

 旧庁舎を巡っては、前町長が一部保存を表明したが、2015年に当選した平野町長は解体を決め、昨年3月、解体予算案を町議会に提出。賛否は6対6となり、議長裁決で可決された。原告の請求に対し、町長側は、過去に一部保存を決めた際に文化財としての価値を検討し、平野町長も解体を議会に諮ったと反論。また、旧庁舎は町の所有物であり、解体する裁量があると訴えた。

 住民団体は昨年5月以降、住民監査請求や解体差し止めの仮処分を申請。監査請求が退けられた昨年8月に工事差し止めを求め、盛岡地裁に提訴していた。