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 今春の選抜高校野球大会で優勝した東邦(愛知)に新たな応援歌が誕生する。作曲者は、プロ野球・千葉ロッテマリーンズの元応援団長で、現在は東北楽天ゴールデンイーグルス応援プロデューサーのジントシオさん(39)。「自分が作った応援歌を多用する東邦の生徒に会いたい」とジンさんとの縁が生まれた。

 東邦がロッテの曲を使い始めたのは、2012年。硬式野球部員がYouTube(ユーチューブ)にあるロッテの応援団の動画を示したが、楽譜はない。そこで、マーチングバンド部顧問の白谷峰人さん(43)が「耳コピ」(聴音)して、吹奏楽用にアレンジした譜面を作った。

 応援が全国的に有名になったのは、16年夏。全国選手権大会2回戦の八戸学院光星戦で、演奏に合わせ手拍子が起こり、観客がタオルも回し始め、九回2死から劇的な逆転勝ち。全国の高校から、応援についての問い合わせが殺到した。

 今春の選抜大会は米国遠征と重なり、準々決勝までは大阪桐蔭吹奏楽部の手を借りた。準決勝から合流して、足を上げたり回ったりしながらキレのある応援を披露。優勝に貢献した。

 野球応援に使う約40曲のうち、半分がジンさんが作ったロッテの曲だ。「明るい曲調が好き。みんなで盛り上がれる」とサックスの村瀬愛さん(3年)。トランペットの建木(たつき)萌さん(3年)も「吹奏楽以外の人とも動きを合わせやすくて団結できる」と話す。

 ジンさんは、曲を多用する東邦を「思い入れの深い学校」と感じていた。実際、東邦の応援を機に、正式に販売した楽譜もある。そこで昨年11月、東邦を初めて訪問。オリジナル曲を作る話が出て、12月に全部員とミーティングした。

 どんな曲にしたいか部員に尋ねると、10の言葉が上がった。なかでもジンさんが印象深く感じたのは、「めっ声(こえ)」。めっちゃ声を出す意味で、校内でよく使われているという。「愛着が持てる曲にしたい」とジンさんはこの言葉を歌詞に盛り込み、制作。夏の愛知大会に向け、白谷さんや部員が、振り付けなどのアレンジを加えて仕上げているところだ。

 部長の伊藤結芽(ゆめ)さん(3年)は「野球部がピンチになっても、私たちがあきらめてはだめ。勝利をもたらせる応援をしたい」。ドラムメジャー(指揮者)の菅谷優莉乃さん(2年)は「東邦といえばこの曲と言われるほど浸透できるよう、皆さんの心に届く応援をしたい」と意気込んだ。

 高校野球愛知大会は29日に開幕。30日に初戦を迎える東邦が勝ち進めば、マーチングバンド部は7月中旬の試合から、応援に駆けつけ、新応援歌を披露する予定だ。

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〈ジントシオ〉1980年生まれ。東京都出身。東北楽天ゴールデンイーグルス応援プロデューサーで、千葉ロッテマリーンズ元応援団長。2000年ごろから応援歌の作曲を始め、トランペットや太鼓を用いて応援団が盛り上がれる曲を多数生み出した。2017年には早稲田佐賀に「チャンス早稲田佐賀 ~最高の夏にしようぜ!」、2018年は奈良大付に「青のプライド」やテレビ朝日系列の番組「アメトーーク」で「高校野球大好き芸人・応援歌」を提供。男子プロバスケットボールBリーグ千葉ジェッツや、JリーグSC相模原の応援歌も作った。(江向彩也夏)