京王電鉄の子会社・京王観光の支店が長年にわたり、団体旅行で実際より少ない人数分の乗車料金しかJRに払わない不正乗車を繰り返していた問題で、指定席を使う場合の不正の手口が関係者への取材でわかった。座席指定のみができる「指(し)のみ券」を使って席を確保し、ほかの客を排除していた。不正は大阪の2支店のほか福岡支店でも判明。不正に関与した社員は約10人にのぼるという。
京王観光によると、不正は、JR各社が京王観光に委託している発券業務を使って行われた。大阪の2支店ではツアー参加者の切符を発券する際、実際よりも少ない人数分の団体乗車券を発券。同行する社員が保管し、駅員がいる改札口で乗車券を見せて入場させる手口で、浮いた差額分を利益に計上していたという。駅員は信頼関係から人数と切符の枚数が合っているか確認していなかったため、不正乗車が可能だった。
関係者によると、新幹線や特急などの指定席を使う際には、実際は購入していない座席に一般の客が乗ってきてしまう可能性があるため、「指のみ券」を発券し座席を確保していた。
さらに、改札などで実際の人数と団体乗車券の差が駅員から指摘された場合に備えて、同行する社員が人数分の指定席回数券を持参。指摘されれば提示し、指摘されなければ未使用の回数券を払い戻し、利益に計上していたという。
ある観光業界の関係者は「車内改札を省力化しているJR側の動きにつけ込んだ不正とも言える。座席を予約していれば車掌も気づかない。悪質な手口としか言いようがない」と話す。
不正乗車は大阪支店と大阪西支…
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朝日新聞社会部