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 プロ野球・日本ハムが本拠の北海道内で自治体との人材交流を進めている。球団が元選手の職員を派遣し、自治体が雇用する。球団は地域貢献、自治体は地域活性化を描く試みは、選手引退後のセカンドキャリア創出にもつながる可能性も秘めている。

若者流出に危機感

 現在、自治体職員になっている元選手は2人。浅沼寿紀さん(29)が2016年4月からオホーツク海に面した紋別市教育委員会、池田剛基さん(34)は昨年4月から十勝地方の足寄町教育委員会で働く。2人とも道内出身で、業務内容は地元高校の野球部コーチや、小中学生へのスポーツ指導などで、任期は5年。その後は自治体に残って正規職員として採用されるか、球団に戻るか選べる。

 人材交流は、紋別市からの球団への提案がきっかけで始まった。「15年、紋別高野球部は部員不足で助っ人がいないと大会に出られなかった。高校の衰退は地域の活力を奪う」と宮川良一市長(64)。市内では私立大が05年に撤退しており、若者流出への危機感が高まっていた。部活強化やスポーツ振興を図り、高校や地域の魅力向上につなげたい思いがあった。

野球人口が激減

 球団も、13年から道内自治体と体力づくりや地域振興で協力するパートナー協定を結ぶなど、地域との関係をさらに深めようとしていた。荒井昭吾・コミュニティーグループ長(46)=1月からチーム管理部部長代行=は、「北海道の野球人口は少子化の3倍のスピードで減っている。自治体と球団の思いが合致しました」と振り返る。

 派遣された2人にとっては、高校野球と関われる点が大きかった。現行制度では現役プロ選手、球団職員は高校生を指導できない。浅沼さんは「野球しかやってこなかったので期待と不安があったが、今後の人生のためにもなると思った」。池田さんは、「将来的に指導者には興味があった。自分の経験を地域に還元もしたい」と足寄行きを自ら志願した理由を語る。

 浅沼さんが指導陣に入る紋別高野球部は昨夏、地区大会を突破して北北海道大会に初進出。8強入りも果たした。一方の足寄高は1学年2クラスの小規模校。野球部も単独チームは組めないが、「何もないところから作り上げる。私が高校時代を過ごした鵡川がそうでした」と池田さん。自分の仕事を地域の活力につなげたいと、誓っている。(山下弘展)